スタッフと卒論内容の紹介 Feed

2016年11月25日 (金)

Staff 平成17(2005)年度

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安藤千春
「幼稚園・保育所の用途別面積傾向と各室・空間の保育者評価」
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 近年の保育ニーズの変化に対応した幼児施設の計画を行うことは重要である。本研究では幼稚園・保育所(140園)を選定し、①用途別面積傾向の把握、②各室・空間の利用実態とその評価から、近年建設された幼稚園・保育所の概要を明らかにし、また保育者評価を盛り込んだ幼稚園・保育所のあり方について、以下の知見を得た。
1)大規模な幼稚園・保育所であっても多様な行為・集団を包括できる空間を充実させるべきである、2)計画時に設計者による十分なヒアリングを行う、3)人的密度の小さいプラン計画が課題となる、4)集団規模を小さくすることで保育の自由度を上げることができる、5)保育室の規模は2.5~3.0㎡/人程度がひとつの目安となる、6)遊戯室はそこでの行為を限定せず計画する必要があり、1.4~1.7㎡/人程度がひとつの目安となる。<文責 本人(安藤千春)>

c0028578_11235346.jpg伊藤亜希恵
「遊び・生活行為の人的密度からみた
 保育所の各室・空間配置に関する試論」
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岐阜県内の3園を対象とし、平面図への行為記録と撮影した写真から、乳幼児の行為毎の人的密度とその内容を把握し、保育所の各室・空間配置を考察した。その結果、次の6項目について知見が得られた。
1)遊戯室は活動場面に応じた細やかな計画が求められる。2)砂場は、10人当たり4.9㎡程度のスペースが必要であると思われる。3)ドッジボールはコートのプロポーションが重要で、4m以内を基本とする。4)保育室は、食事-午睡スペース間にフリースペースを設けると、食事時の集団形態の幅が広がる。5)床素材等の変化は、集団形成に寄与できる。6)保育室面積は、乳児室2.5㎡/人、幼児保育室3.3㎡/人が必要と思われる。(文責 安藤千春)

c0028578_11241243.jpg佐藤涼平
「公衆浴場における浴槽の平面配置特性と利用者の意識評価」

 本研究は、岐阜市内の銭湯とスーパー銭湯を対象に、図面の分析や実測調査、ヒアリング調査、アンケート調査を実施し、公衆浴場における平面計画や銭湯の機能のありかたを考察した。
 調査により次のような考察を得た。1)平面計画の特性として、スーパー銭湯は回遊性があり、各スーパー銭湯が類似した平面計画を持つが、銭湯は白湯が中心の片側通行となっており、敷地の形態によって平面計画の差が見られる。2)店主の意識として、双方とも経営面・衛生面の意識が高いが、銭湯はそれに加え「コミュニティーの場としての銭湯」という意識を持つ。3)利用者の評価として、銭湯には非日常的な空間を求めるなど、総合的な安らぎの空間が求められている。
 各考察より、公衆浴場計画には、利用者の欲求を踏まえた平面計画が必要であり、今後魅力的な公衆浴場計画のポイントとして、地域との密着、コミュニティの形成が必要であると考えた。(文責 服部真和)

c0028578_1124318.jpg服部真和
「凸凹凸凹(でこぼこ)
 ―柳ケ瀬商店街の活性化を目指した商店街計画の提案―」

本計画は商店街に見られる、高低差、あふれ出し、平面構成、人だまりの4つの要素を断面、平面構成、物品配置、集団形成の凹凸としてとらえ、凹凸の付加・削除操作を既存の商店街に適用することで魅力的な商店街空間を提案することを目的としている。
 4つの特徴ある商店街と柳ヶ瀬商店街を対象に写真を撮影して、上記の4つの要素に注目し分析した。その結果、魅力的な商店街には、高低差の有効利用、あふれ出しの境界線を暗示させる仕組み、通路をまたいだ平面構成と緩衝空間の利用、利用者の偏りを無くした分散配置が必要であるという知見を得た。
 これらを考慮し柳ヶ瀬商店街の計画を行った。断面は2階部分の抜き取りを中心とし、A)空き店舗を取り壊す、B)そのまま市民に開放する、C)柱・壁だけを残して開放する、のいずれかの形をとった。平面構成では既存の平面から凹ませることを基本に、壁面のみの移動で凹凸を表現した。物品配置では壁面の移動によって生じた領域を限度としあふれ出すこととした。集団構成では1階に利用者の分散を目的とした水路を全体へ通し、2階は街路を伸ばすことで人を分散させる下地をつくった。(文責 熊谷百夏)

Staff 平成15(2003)年度

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伊藤晶子
学生のテリトリー意識からみた居住空間のパブリック―プライベートモデル
 本研究は、岐阜高専雄志寮を対象に、場の特性やコミュニケーションの形態が、テリトリー意識に与える影響について考察し、今後の居住空間に関するpublic-privateモデルを提案することを目的とする。調査は、居室のしつらえ(調査1)、テリトリー意識と生活実態(調査2)について質問紙形式で行った。その結果、1)高学年になるほど、プライバシーを守ろうと工夫していること、2)女性のほうがプライバシー意識が高いこと、3)空間のテリトリー意識は、使用状況や行われる行為内容により適宜変化すること、4)public-semipublic-privateの認識は、空間をネットワーク的に配置することにより、人々のコミュニケーションや行動の可能性を広げるきっかけになると考えられること、等を考察した。(文責 藤田大輔)

c0028578_21321380.jpg嵯峨崎千尋
岐阜市およびその近郊の居酒屋における空間構成と利用者の評価 
 本研究では居酒屋の空間構成や客層といった現在の計画的動向を把握する。次に利用実態や意識評価を明らかにする。これらより利用者が求めるニーズをを盛り込んだ居酒屋の計画的知見を得ることを目的とする。
 本研究のまとめとして、家族をターゲットにする場合やロードサイドでの立地には、30~40代の要求から、個室や座敷席を設けることが必要である。また、子どもの立ち歩きを防止するために掘りごたつ席を設けたり、子ども用の椅子を設けるなどの配慮も必要である。繁華街での立地には、20~30代の要求から個室や座敷席を多く設置することが必要である。個室化する場合には壁を設置することも有効と思われる。狭さを感じるかもしれないが、落ち着いた雰囲気作りを意識している、等を考察した。(文責 大西裕太郎)

c0028578_21331497.jpg中村一貴
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「居住者の活動実態からみた高齢者施設に求められる場の考察 」
 本研究では、物的環境と高齢者の行動に着目し、グループホーム(以下GH)における高齢者の活動実態を把握した。また特養・GHにおける行動の差異を把握し、それらの結果を踏まえて、今後の高齢者施設に求められる空間やケアのあり方を提案した。
 本研究の結果として、1)共同スペースと居室での滞在時間が多いこと、2)滞在時間が多い場所を中心に滞在範囲が広がっていること、3)共同スペースと居室を結ぶ空間では移動が多いこと、4)ケア(プログラム)による居住者の行動変化が見られること、が読み取れた。共同スペースにおける滞在の多さは既往研究の結果と類似しており、プログラムや施設タイプに起因していると思われる。
 これらの結果をもとに、今後の高齢者施設では共同スペースと居室をつなぐようなスペースを設け、そこでケア的な行為(食事やお茶)を行うことで、自然な行動のなかにケアを溶け込ませ、施設全体を使用できると考えた。(文責 加納由佳)

c0028578_2133332.jpg八田宏昌
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「幼稚園における特徴的な空間の活動実態からみた計画課題の把握」 
 空間的特徴のある3園を選択し、園児の遊び傾向と各園の空間的特徴に着目した場合の遊び傾向を把握するために行動調査を行った。その後、過去の研究との比較を通して幼稚園の遊びに有効と思われる空間的特徴・環境の分析を個々の要素としてだけでなく全体からの視点においても検討し、調査の結果は集団・行為・場所の関係から読み取れる遊びの内容・性質・場所特性を計画課題としてまとめた。保育室には各園児の行為に応じることのできる居場所、園庭には保育室とつながる部分への配慮と開放的かつ遊びバランス(動的or静的)の良い遊具の配置、中間的場所(廊下やテラス)には十分な広さと保育室との連帯性などの要素が必要だと考えた。(文責 松井寛子)

c0028578_21334735.jpg古川隆雅
「体験の差が園児の遊びイメージに与える影響」

幼稚園の様々な場所の写真パネルを使い、それに対する園児の遊びイメージを把握した。既往研究との比較により空間体験の有無が園児の遊びイメージに与える影響について分析・考察する。各空間の関わりを見ることで園児の各空間の着目要素、その空間に対する行為、空間の利用人数、そこに必要なもの、周りに必要な空間、というように、遊び内容・性質・場所・集団数等の比較をすることで園児の遊びイメージを分析する。その結果、以下の知見を得た。
遊びイメージの誘発要素として、動的遊びは遊具、中間遊びは砂場やブロック、静的遊びは本等が挙げられる。遊びを特化させたい場合は、遊具・遊び道具、多様な遊びを展開させたい場合は、オープンスペース等が有用であるとわかった。各園で教育方針や構築環境等に影響させられる例もみられた。
また、この知見は遊び体験が少ない幼児に配慮した遊び場計画にとっても有用であると思われる。(文責 服部元気)

Staff 平成14(2002)年度

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佐藤一也
「園児の行動・心理の関わりからみた保育園計画に関する考察 」
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岐阜県における3園を対象として行動と意識の両面から2つの調査・実験を行なった。まず、行動観察調査により園全体の流れを把握した後、園空間の写真に対する遊びイメージ(遊び内容・集団・場所)、およびその場所に求める要素等を把握した。行動状況を見ると、0-1歳時では周囲から守られた空間、2-3歳児では社会性のめばえを意識し、園児固有の場所周辺に他園児の滞在を考慮した計画、4-5歳時では想像力をかきたてる要素(自然・段差等)や大きな集団の発生・移行を意識した計画が必要であると考えた。意識面では、屋内における遊具や生活行為の場面に依存している。行動と意識の関わりを見ると、両者のつながりに必要な要素として1.周囲を把握するための滞留場所、2.ひとつの遊びに熱中できる空間、日常的に使用する空間が挙げられる。これらは園児の滞在が長く、「座位によるたまり」が形成され、周囲を観察できることがポイントとなる。

c0028578_21365586.jpg野々村恵
「各通りの個性を生かした柳ヶ瀬商店街の活性化に関する考察」
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岐阜県の中心繁華街である「柳ヶ瀬」を対象として、1.営業時間、店舗特性の実態調査、2.ファサードによる通りの特性分析、3.通路へのモノの溢れ出し、4.利用者と店主に対する意識調査を行なった。考察の結果、活性化のキーワードとして1.岐阜駅からのアクセスのしやすさ、(無料バスの継続、玉宮町と北側飲み屋を連続させた飲み屋街の創出)、2.通りごとの統一感(各店舗の看板、1Fファサード部分の高さ、商品の溢れ出し規制、前面空地、建物の素材や色・形)、店舗種類ごとの近接配置(各年齢層をエリアや通りごとにしぼる、特定の目的による小エリア化、営業時間の棲み分け)、4.新たな顧客の創出(公共施設の誘致、定期的なイベントの企画、休憩スペースの設置)の四点について挙げることができた。

c0028578_21371653.jpg宮部孝典
「児童の遊び・生活実態からみた公園計画に関する考察 」
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まず東海地方の小学生の生活実態を把握した。その後、規模や周辺地域の状況、遊び内容等から公園のタイプ分類を行ない、来訪者の圏域や求められる要素等について把握した。生活実態をみると、全体の傾向として中遊びが多く、自宅の滞在時間が長い。開発中の地域は中遊びが多く、自然の多い地域は外遊びが多い。公園の物理的環境は人工的な要素が多く、子どもの感性を刺激し、その行動を受けとめる自然環境が不足していると考える。今後は公園数や誘致距離の短い公園を優先的に整備し、さらに現在の公園では満足されていない自然的な要素を取り込むことや小集団で占有できる拠点を配置するといった遊びを展開させる計画が重要であろう。

c0028578_21372838.jpg箭野香菜
「園児の遊び場面と保育室の評価からみた幼稚園空間の考察 」
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幼稚園における遊び場面に対する園児の嗜好・評価、および保育室における家具配置の把握、スケール感等を明らかにし、今後の幼稚園計画に関する知見を得ることを目的とした。双方の結果から、まず遊び場面では1.特異性のある遊具や空間、2.自然物に付与した遊び空間、3.落ち着いて話ができる空間、等の設置が挙げられる。把握されやすさを考慮して保育室空間を考えてみると、家具の配置・スケール感の把握されやすさ(おもちゃ収納家具の近接、遊びコーナーにおけるカーペットの設置、すみに園児が好んでいる家具の配置等)により、安定・安心感を与え、把握されにくさ(雰囲気が近い家具(色・形)の近接、利用頻度が低い家具の近接)により園児に錯覚・刺激を与えるということができる。この配置を意図的に行なうことで園児の近くの発達を意識した保育室計画につながると考える。 

Staff 平成13(2001)年度

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畦地美緒
「幼稚園の構築環境における幼児の行為と心理・意識の関わりについて」
岐阜県内の幼稚園3園の園児を対象に写真投影法を用いて園児の意識評価を行ない、学齢が上がるほど、物理的・社会的環境が発達すること、園環境が心理的・物理的環境に差異を生じさせること等を考察した。また、予測した以上に、園児にとって他のモノを観察することが重要であると結論づけた。

c0028578_21404224.jpg鈴木雄也
「幼稚園における園児の遊び場面に対する評価・認識の構図について」
あらかじめ撮影した他園の遊び場面をもとに写真パネルを製作し、園児に「遊んでみたいと思うのはどれか」「お話してみたいと思うのはどれか」質問した。その結果、特異性のある空間に評価が集まり、男女間に評価傾向の差が認められた(男児:活発で動きが激しいもの、女児:ほどほどに活発)。また写真に写真外の場面に対しても把握していたり、写真中の園児の気持ちを推測する等の姿が見られた。

c0028578_21405830.jpg坂知栄
「岐阜県におけるカフェ空間の特性と利用者の評価」
人口に対する喫茶店数は、大阪、愛知、兵庫、岐阜の順に高い。また保有面積と喫茶総数にはあまり相関が見られなかった。また、レパートリーグリッド三個組法を用いて、意識実験をした結果、高年齢層に対しては静かで落ち着いた雰囲気や緑を配置するといった癒されるような場、若年層に対しては、明るくオープンな雰囲気の中で、イスの形態等を配慮し、長居できる場が求められていることなどがわかった。

c0028578_21411452.jpg広島麻紗子
「みず ふる さと 」
水を活かし、自然との共生が残っている郡上八幡に着目し、地域の個性特化を目指した計画を行なった。文献・ヒアリング調査を行なった後、八幡町の住民4名に対して計画途中の段階でプレゼンテーションを行ない、その結果を反映してそのプロセスを2回繰り返し、計画を純化させていった。各地区の特性を配慮した計画として、ホスピス(小那比)、水舟デバイス(中坪・小野)、水質浄化デバイス(小野)、公園(初音)、地域に溶けこんだ美術館(美山)を計画した。

c0028578_21412734.jpgディックオランゴ
「子どもの個性・地域差が秘密基地の所有に与える影響について」
子どもの自我を形成する場として秘密基地に着目し、その実態や子どもの生活スケジュール等を把握した。過去では、基地づくり自身が遊びとなっていたが、現在では秘密基地に日常的な遊びを持ち込んで遊んでいる姿が見られた。また、郊外であればあるほど屋外に滞在している時間が長いことがわかった。 

Staff 平成12(2000)年度

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清水 夏子(旧姓:曾木)
「ショッピングモールにおけるたまりを誘発しやすい構築環境要素について 」
岐阜県内のショッピングモールにおける「たまり」の実態把握とその意識を読み解くことで、モール空間や外部空間の魅力的なしつらえの可能性について研究した。

c0028578_21435861.jpg松尾 歩
「複合商業施設における利用者の被服デザインと建築空間の相互関係について 」
近年、急速に増加している岐阜県内の複合商業施設において、被服と建築空間の相互作用に着目し、人々の意識や行動領域が自らの被服や建築空間のさまざまな要素とどのような関わりがあるかについて研究した。

c0028578_214481.jpg渡邊 香奈
「幼稚園における園児の遊びと学齢差の関わりについて」
岐阜県内の3園に対して、行動観察調査、および園外の遊び状況等について把握し、学齢差を考慮した幼稚園空間のあり方について研究した。 

2016年5月26日 (木)

スタッフと研究紹介

藤田 大輔(ふじた だいすけ)

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小柳 俊一(こやなぎ しゅんいち)

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里見 勇気(さとみ ゆうき)

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髙木 美奈(たかぎ みな)

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松村 美沙希(まつむら みさき)

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