スタッフと卒論内容の紹介 Feed

2016年11月25日 (金)

Staff 平成27(2015)年度

武田 恭典 Takeda Yasunori

堀口 智哉 Horiguchi Tomoya

春日井 佐彩 Kasugai Saaya

浅野 遥香 Asano Haruka

平塚 優里香 Hiratsuka Yurika

Staff 平成26(2014)年度

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武田 恭典 Takeda Yasunori





c0028578_17485443.jpg堀口 智哉 Horiguchi Tomoya







UH園の活動実態からみた低年齢児の保育空間のあり方
-異年齢保育と年齢別保育における使われ方の相違-


*研究目的*
現代の保育所で行われている保育形態は従来の年齢別保育と近年増加している異年齢保育園がある。保育活動の効率を考え、園児の人数等で保育形態を変更することもある。しかし、年齢別保育と異年齢保育に求められる保育室の空間構成は異なるため、同じ空間で保育形態を変更すると活動に不具合が生じる場合もある。そこで本研究では異年齢保育から年齢別保育に移行した0~2歳児が過ごす保育園において行動を観察し、使われ方の相違点を明らかにすることで、空間のあり方を検討することを目的とする。

*研究方法*
本研究ではUH園のカンガルーのおうちにおいて行動断面調査を2回行った。

*まとめ*
本研究ではUH園0~2歳児における異年齢保育時と年齢別保育の活動変化について確認し、空間の使われ方の相違点を明らかにすることができた。総括として、現在の保育活動の流れに合わせて検討した保育活動の改善プランを作成した。0歳児と1・2歳児の活動場所を分離し、1・2歳児はコミュニティースパースを有効活用することで食事前の遊びスペース確保を重視した。
(文責;春日井佐彩)

c0028578_17493057.jpg後藤 洋平 Goto Youhei






UH園の活動実態からみた0,1,2歳児の遊びスペースのあり方


*研究目的*
保育園や幼稚園などの保育施設は最低基準面積で建てられていることが多く、有意義に遊ぶための広さの確保、遊ぶための広さの確保、遊びコーナーの効率化が求められている。遊びコーナーの既往研究では3,4,5歳児を対象とした研究があるが、0,1,2歳時の遊びについては研究されていない。そのため本研究では0,1,2歳児の遊びにとって、効率的かつ快適な遊びスペースを構成していく手がかりを得ることを目的とする。
*研究方法*
遊び領域に着目した行動観察調査を2回行い、調査時は場所の占有状況を把握できるように複数の角度から写真撮影した。得られたデータから遊びスペースの在り方について分析・考察を行った。
*まとめ*
遊びは共有スペースを介して組み合わせることで、見立て遊びが可能になり単体での遊びよりも展開しやすいと思われる。遊び内容に適した共有スペースを複数配置することが保育室空間の効率化につながると思われる。
(文責:武田恭典)

c0028578_175099.jpg岩佐 健司 Iwasa Kenji





保育園に求められる収納スペースとその特性

*研究目的*
保育園では特に収納スペースが足りないといった意見があるが具体的な収納の内容、備えるべき物品について扱った既往研究はみられない。本研究では、保育室における収納物の配置と量を把握し、保育園に求められる収納スペースとその特性について考察したい。

*研究方法*
特徴的な平面を有し、異年齢保育を行っているUH園とSW園を調査対象とした。収納スペースの寸法、収納物の状況について記録し、写真撮影、ヒアリング調査を行った。

*まとめ*
寝スペースには、布団の収入が十分に必要であるため、予備収入も設置する必要がある。遊スペースは遊び遊具を園児が扱いやすいように配置する必要がある。食スペースは食事の前後で活動を移行しやすくするために、玩具を園児が取りやすい位置に配置する必要がある。また、水廻りスペースは、園児の排泄時に職員が即座に道具を取り出せる位置に配置する必要がある。
(文責:平塚優里香)

c0028578_17503673.jpg福田 貴之 Fukuta Takano





分棟型異年齢保育実施園における保育室の使われ方とその特性


*研究目的*
近年、女性の社会進出と核家族の増加に伴い、保育所の需要が増加し、保育時間もも長時間化する傾向にある。保育所で過ごす時間が生活の大部分を占める園児もおり、保育所は家庭的な空間・設えが特に求められる。この研究は0.1歳児、2~5歳児で構成された分棟型異年齢保育の活動実態を把握し、空間に適した活動のありかたいついて考察することを目的とする。

*研究方法*
異年齢保育園は一般に3~5歳児で構成されるが、調査対象園は2~5歳児で構成されており、2歳児の動きにも着目した。10分毎に記録する行動断面調査を2回行った。

*まとめ*
調査対象園では分棟配置により一つの棟で遊びが完結しがちで、かつ室内に高低差があるため活動場所が広がりにくいと思われた。本研究では活動実態をふまえ、活動が円滑に行われるよう改善案を提示した。
(文責:浅野遥香)

c0028578_1751169.jpg川口 華澄 Kawaguchi Kasumi




Toward natural -繋がりが薄れゆく未来のために-


*設計目的*
近年では威圧的で冷たい印象を与える人工物が建築に広く用いられ、建物に抵抗を抱くことがある。人は自然を奪うことで生活するが、自然が失われると生きてはいけない。人が自然に一歩譲る考え方を忘れ、自己中心的な主張をすると、それは威圧感といった形で建築にも表れるのではないか。
*研究概要*
「人工物特有の威圧感」をなくすことを設計のコンセプトとする。計画対象地には岐阜県岐阜市の問屋町商店街を選定し、人工的な建物への威圧感を減らし、問屋町が抱える空き店舗の増加や、後継者不足といった現状問題を合わせて解決する。敷地北側の建物は外壁や構造体に手を加えず使用し、アクリル板で囲い水で満たされている、歴史を感じる外壁からは懐かしさ、内部に満たされた水からは親しみを感じることで建築物の威圧感を減少させる。敷地南側は本の道、カフェ、読書空間などの新しい用途を従来の機能に加えて老若男女問わずに利用できる空間を提案する。
*まとめ*
人々が行きかう空間を設計することにより、商店街を活性化させたいという思いが問屋町商店街で以前から働く地域住民に芽生えることを期待する。
(文責:武田恭典)

Staff 平成25(2013)年度

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荒川 誠 Makoto Arakawa





高専キャンパスにおける利用者の生活実態と意識評価
-憩いの場に着目した岐阜高専キャンパスにおけるケーススタディ-


*研究目的*
岐阜高専において学生・教職員の生活環境の質的向上が求められているが、その前提となる利用者の生活実態・意識評価に関しては十分に明らかにされていない。本研究では岐阜高専における利用者の生活実態・意識評価を明らかにし、今後の高専キャンパスにおける憩いの場のあり方に関する知見を得ることを目的とする。
*研究方法*
調査は岐阜高専キャンパス利用者に対して2回のアンケートを実施し、利用者の主要な滞在場所として、伊吹と図書館で各2回、各教室において1回の行動観察を行った。
*まとめ*
現在、岐阜高専キャンパスにおいては利用頻度の高い滞在場所と各教室のアクセスしやすさに差が生じている。学年によって利用場所や1日の生活が変化するため、「集いの場」をキャンパス中央へ集約、「安らいの場」を各学年の教室付近へ点在させるなど、憩いの場と教室との配置関係を十分に考慮する必要がある。
(文責:堀口智哉)

c0028578_17581046.jpg武田 恭典 Yasunori Takeda





岐阜高専キャンパスにおける食堂・購買及び図書館の活動実態

*研究目的*
高等専門学校において利用者の生活の質を高めるには憩いの場の環境整備が必要となる。本研究は岐阜高専の食堂・購買および図書館における現状問題を明らかにし、機能の整理をすることで岐阜高専における食堂・購買および図書館の在り方を検討することを目的とする。
*研究方法*
調査は岐阜高専の全学生に対して1回のアンケートを実施し、食堂・購買と図書館で各2回行動観察を行った。
*まとめ*
①食堂は利用者同士の距離を確保するため、テーブル形状を変えること、券売機を食堂外に設置するなどメイン動線の幅員を確保し、動線を整理する必要があると考えられる。②図書館では座席・コーナーのレイアウトを見直し、窓際座席の増設、コーナー配置の移動・増設などが必要と考えられる。
(文責:堀口智哉)

c0028578_17594297.jpg渡辺 倫子 Rinko Watanabe





活動実態からみた低年齢児の保育室空間のあり方
-食・寝・遊が分離された保育所におけるケーススタディ-


*研究目的*
食べる・寝る・遊ぶ場所を独立させる保育所が近年増えているが、求められる空間構成や活動実態については既往研究の蓄積が少ない実情にある。本研究では0,1歳児を対象として、食・寝・遊が分離された保育室空間の活動実態を明らかにし、空間のあり方とその留意点を整理することを目的とする。
*研究方法*
調査対象園としてK園を選定し、行動断面調査と行動追跡調査およびヒアリング調査を各1回実施した。
*まとめ*
①生活スペースは食・寝・遊それぞれからのアクセスが集中するため、開放的かつ保育室空間の基点となる位置に配置配置されていることが場面転換の円滑化に貢献している。②食べる場所と寝る場所の明確な分離によって子どもの生活リズムに対応でき、かつ衛星的な環境を整えている。③遊ぶ場所は行為と集団編成から6つのタイプに分類され、遊び道具が用意されたコーナーと多目的な空間の組み合わせが好ましい。
(文責:堀口智哉)

Staff 平成24(2012)年度

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岩田卓也 Takuya IWATA@岐阜高専建築学科


異年齢保育実施園の生活実態からみた保育方針に応じた空間的特性-異年齢保育に求められる空間の在り方について-

*研究目的*
地域コミュニティの衰退、少子化により多様な年齢集団で過ごす機会が失われつつある。そのため、異年齢間の交流を通して多様な人間関係や集団形成の体験、遊びと生活の知識・技能に対するより良い遊びを得ようとする異年齢保育が近年注目されている。本研究では、異年齢保育実施園の保育方針について分類・整理した上で、保育方針に応じた空間的特性について考察する。

*調査方法*
①異年齢保育の保育方針や保育空間の特徴が異なる5園を既住研究や文献から選定し、行動観察調査を行った。②年齢別保育から異年齢保育へと移行するために園舎を建て替えたSW園に着目し、2011年4月から12月にかけて計9回の調査を行った。
①②ともに登園から降園までの活動内容、空間の使用状況、保育方針や異年齢集団の様子について観察およびヒアリングにより記録した。

*まとめ*
異年齢間の助け合いを重視する場合、①一人ひとりが他人を理解し人間関係を深められるようクラスを少人数にすること、②午睡や着替えといった「生活」を異年齢で共に行うことが重要である。1クラスを少人数編成にすることが他者に対する深い理解に繋がるが、遊びの質を高めるには多人数での遊びも必要であり、各年齢の発達保障の懸念もあるために少人数にできない場合もある。
異年齢間の助け合いを重視しない保育方針においては、異年齢で混ざった遊びを主体とするか、同年齢での遊びを重視するかによって適切なクラス規模や空間の設えが異なる。(文責 渡辺倫子)





c0028578_11342680.jpg福地貴文 Takahumi HUKUCHI@岐阜高専建築学科

自作固定遊具を用いた幼児の遊び行動におけるリスクの抽出

*研究目的*
近年、固定遊具を中心とした遊び環境の安全性が問われており、リスクとハザードを除去する動きが高まっている。このままでは幼児が遊びから危険管理能力を身に着けられず、挑戦意欲も衰える恐れがある。本研究では固定遊具におけるリスクを具体的に抽出し、道具製作におけるリスク設置の目安やハザードの発生条件を明らかにしたい。
*研究方法*
本研究では、O保育園実験対象に選定し、実験対象に選定し、自作した固定遊具で遊ぶ幼児を対象とした2回×2の計4回の行動観察実験を行う。得られたデータとあらかじめ予測した遊び行為を比較し、幼児の遊び環境においてリスクにつながる行為、環境を分析する。
*まとめ*
自らの判断でリスクを選択する姿や何度も挑戦する姿から、適切なリスク設置は幼児自身の危機管理能力や挑戦意識を育てるにあたって必要な環境であるということを確認できた。(文責 武田恭典)


c0028578_11321484.jpg荒川誠 Makoto ARAKAWA






c0028578_11294382.jpg大橋誠 Makoto Ohashi





c0028578_11312420.jpg石田昭彦 Akihiko ISHIDA 

Staff 平成23(2011)年度

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藤澤光治 Koji FUJISAWA@岐阜高専建築学科



コンバージョン建築の特徴別にみた改修方法と留意点

*研究目的*
近年、建築物の再生・再利用を行うコンバージョンが注目されている。今後のコンバージョン普及のためには一般的な小規模建築物に関する知見が必要であるが、改修方法費用などの情報が少ないのが現状である。そこで本研究では、岐阜市とその近郊に位置する小規模事例を対象としてヒアリング調査を行い、改修方法・コンバージョンを行う際の留意点の一端を明らかにすることを目的とする。
*研究方法*
国内におけるコンバージョン実施の背景を把握することを目的とした文献調査及び、小規模建築物における留意点を明らかにすることを目的としたヒアリング調査。
*まとめ*
施主の愛着や思い出が蓄積した建築物をコンバージョンによって活用することで、新築にはない趣が生まれ、何者にも代えがたい魅力ある空間となりえる。
また、限られた予算の中で改修が行われることが多く、それぞれの改修方法と費用の詳細な情報を得ることが普及の一助となろう。(文責 荒川誠)


c0028578_1655412.jpg岩田卓也 Takuya IWATA@岐阜高専建築学科











c0028578_1657646.jpg加藤未知麻 Michima KATO@岐阜高専建築学科
ワークスペースを有する小学校の設計意図と活動実態及び意識評価の関わり
*研究目的*
 ワークスペースがクラスルームに隣接している岐阜市立岐阜小学校において、設計者の意図、児童の空間利用特性、児童・教師の意識評価の差異を明らかにすることで、岐阜小学校の建築計画に関する課題を空間別に抽出することを目的とする。
*研究方法*
設計者を対象にしたヒアリング調査、児童・教師を対象にした行動観察調査、児童を対象にしたキャプション評価法を用いた実験、教師を対象にしたアンケート調査を行い、その結果から、相互の関わりについて分析・考察を行う。
*結果・考察*
 男児は大人数での遊びを好み、女児はおしゃべりなど集団内で個々に活動する遊びを好む傾向があると推測される。
キャプション評価法を用いた実験では、児童の撮影対象は、日頃からよく利用する場所、特徴的な空間(メディアスペース、特別教室)、普段解放されていない特別感のある空間(屋上ひろば)などが評価されている。
各クラスルームにワークスペース(中)程度の囲われた空間が付随すると、気兼ねなく利用でき、活動の幅が広がると思われる。
運営側ではカーペット、活動が誘発される物(本、遊び道具)、暖房器具などの設置により児童にとって魅力的な空間にする必要があると考えられる。設計者側では音や視界からの影響を軽減させるためWSや壁の位置に対する考慮、運営側では中庭の開放、授業方針の変更などの改善が求められる。
魅力的なWSの形成に加え、教師の負担を軽減しWSの活用を促すことが重要である。
(文責:大橋誠)











c0028578_1823329.jpg福地貴文 Takahumi HUKUCHI@岐阜高専建築学科











c0028578_1824580.jpg浅井彩香 Ayaka ASAI@岐阜高専建築学科

まちの里親さん ‐家族が生まれる空間‐
*設計目的*
現在の機械的な制度に共同生活の場を加えることにより、本当に合った里親の元で暮らせる手助けをする。また、里親だけでなく地域住民やボランティアの3つの目で孤児たちを見守ることができるようにするため、既存の建物と関係を持たせ、より地域に密着した共同生活の場を提案する。
*研究概要*
「増殖する温かな空間」を設計のコンセプトとした。既存の建物周辺に里親と孤児が住む住宅を建て、その住宅の周囲に1人用の住宅を建てる。それらを空間的につなぎ、増やしていくことで空間の塗り替えをはかる。また、里親と里子の他に地域性(グリーンセンター)、ボランティアという2つの要素を取り入れることで孤児と里親以外の人との交流の機会をつくると共に、お年寄りたちの居場所にもなり、若い世代に里親制度を知って貰うきっかけにもなる。
*まとめ*
里親と孤児の関係に地域住民やボランティアを巻き込むことで、孤児が様々な年代の人々と家族のような関係を築き、強く自立していくことを期待する。
(文責:石田昭彦)


c0028578_183921.jpg植田宏貴 Hiroki UEDA@岐阜高専建築学科



コンバージョン建築の特徴別にみた留意点

*研究目的*
近年、建築物の再生・再利用を行うコンバージョンが注目されている。今後のコンバージョン普及のためには一般的な小規模建築物に関する知見が必要であるが、改修方法費用などの情報が少ないのが現状である。そこで本研究では、岐阜市とその近郊に位置する小規模事例を対象としてヒアリング調査を行い、改修方法・コンバージョンを行う際の留意点の一端を明らかにすることを目的とする。
*研究方法*
小規模建築物における留意点を明らかにすることを目的としたヒアリング調査。
*まとめ*
時代を経たコンバージョン建築は、新築ではつくれない魅力的な空間が見られた。また、コンバージョンは限られた予算の中で改修が行われることが多く、それぞれの改修方法と費用などの詳細な情報を得ることが普及の一助となろう。
(文責 荒川誠)


c0028578_1862461.jpg川地成美 Narumi KAWACHI@岐阜高専建築学科
設計意図と活動実態・意識評価からみた小学校空間のあり方
*研究目的*
ワークスペースがクラスルームに隣接している岐阜市立岐阜小学校において、設計意図、児童の活動実態、児童・教師の意識評価の差異を明らかにすることで、岐阜小学校の建築計画に関する課題を空間別に抽出することを目的とする。
*研究方法*
 設計者を対象にしたヒアリング調査、児童・教師を対象にした行動観察調査、児童を対象にしたキャプション評価法を用いた実験、教師を対象にしたアンケート調査を行い、その結果から、相互の関わりについて分析・考察を行う。
*結果・考察*
男児は大人数での遊びを、女児は集団内で個々に活動する遊びを好む傾向があると推測される。
 キャプション評価法を用いた実験では、撮影対象は日頃からよく利用する場所、特徴的な空間(メディアスペース)、普段解放されていない空間(屋上ひろば)などが評価されている。
 ワークスペースの活用を促すためには、児童にとって魅力的な空間にする必要があると考えられる。
魅力的なワークスペースの形成に加え、教師の負担を軽減しワークスペースの活用を促すことが重要である。
(文責:大橋誠)











c0028578_18636100.jpg西川瑠奈 Runa NISHIKAWA@岐阜高専建築学科

自作固定遊具を用いた幼児の遊び行動におけるリスクの抽出
*研究目的*
自作の固定遊具を用いて遊び行動におけるリスクの具体的な抽出を行うことを目的とする。
*研究方法*
「登る」遊び行動に着目した遊具を自作し、この遊具を1園に設置後、幼児の遊び行動をビデオカメラ等で記録した。この記録から、遊び行動におけるリスク・ハザードを整理・抽出し、遊び環境におけるリスクの分析を行った。
*まとめ*
自作固定遊具で観察された遊び行動から具体的なリスクの一端を抽出することができた。
(文責:石田昭彦) 

Staff 平成22(2010)年度

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藤澤光治 Koji FUJISAWA@岐阜高専建築学科











c0028578_1655412.jpg岩田卓也 Takuya IWATA@岐阜高専建築学科











c0028578_1657646.jpg加藤未知麻 Michima KATO@岐阜高専建築学科











c0028578_1533856.jpg佐古彩香 Ayaka SAKO
+School‐地域規模の子育てと地域再生を促す小学校の提案‐
*設計目的*
現在日本では核家族化や少子高齢化が進んでおり、児童のいる世帯の4分の3以上が核家族である。また、親の共働きも増加しているため、一人で過ごす児童が多くなっていると考えられる。本来児童は、住民との関わりあいの中で様々な刺激を受け成長していくことが望ましい。しかし共働きの増加により親の行事への不参加が増え児童と地域住民との関わりも薄まっている傾向にあると思われる。本設計ではJR岐阜駅周辺の問屋町の空き店舗部分を計画対象とし児童や教師だけでなく、地域規模の子育てと地域再生を促すための小学校を設計する。
*計画対象地の概要*
岐阜市の核家族世帯数は近年大きく増加している。3世帯が同居している世帯は全体の11.2%で核家族化が急速に進む地域の1つである。一方、JR岐阜駅周辺では商業家族の低迷や居住人口も減少など、衰退現象が顕著となっている。その中でも、計画対象地であるJR岐阜駅周辺の問屋町は、戦後の地域経済を支えてきたが、今では当時の賑わいはない。
*計画概要*
設計のメインテーマを「街に溢れ出す活動的な空間」とした。小学校のような活動的な場が問屋町の未知やアーケードに溢れ出すことで、問屋町の広い範囲で児童と問屋町の住民・地域住民との交流の場が展開されると考えた。
*設計概要*
本設計ではチャーター・スクールの制度を導入する。低学年は空間に慣れるため、授業をほぼ1つの教室空間で完成させる、日本の小学校でよくみられる総合教室型とし、中・高学年は自分で時間割を組み、教科ごとの教室へ移動し教員がサポートしながら学習を行う。裁縫やものづくりなどは問屋町の人や地域住民と協働し、地域住民を学校教育へは巻き込む。また学校の中に住宅を設ける。ここでいう住宅とは、問屋町の住民、地域住民の住むところであり、住宅にいつでも子どもたちが泊まれるようにすることで、核家族による子育ての人手不足や薄まった児童と地域住民の関係を解消する役割を持つ。
(文責:浅井彩香)



c0028578_15332646.jpg野原麻由 Mayu NOHARA
Region with Attachment -地域住民と子どもの居場所となる交流の場-*設計目的*
現代の日本では、子どもたちの屋内遊びが増加し、遊びの内容に偏りが見られる。
最近では学習塾に通う小学生が増え、親の迎えを待つ子どもたちの姿も増えている。また、子どもたちが習い事で多忙なため、地域との交流が少なくなっていくことに寂しさを感じているお年寄りも見受けられる。
一方で「誰でも気軽に立ち寄ることのできる場所」「思い思いに過ごすことのできる場所」「地域の日常的な居場所」を大人たちが地域に求めている現状もある。
本設計では、地域の人々の拠点となる居場所を作ることで地域の子育て力を増し、子どもたちの居場所をも見出していくものである。人とのふれあいを通じ、地域が愛着ある特別な場所になっていくことを期待する。
*計画対象地の概要*
岐阜県岐阜市の真ん中に位置するこの敷地の周辺には、厚見小学校や厚見中学校など、厚八グラウンド、境川がある。昔から代々この地に住んでいる家族が多いことや、一小一中制をとっていることが厚見地区の特徴である
*計画概要*
放課後の子どもたちの居場所を作るために、地域の大人たちを巻き込むことが出来れば子供たちを地域で育てることに繋がると考え、「地域住民の居場所となる交流の場」を設計することとした。
*設計概要*
設計の手順としては、まず大人と子供の関係が生まれやすい機能を挙げた。その機能を組みかえ配置することで、さまざまな関係性が生まれると考えた。
作り方は、敷地のもつ方向性を尊重し、既存建物である倉庫の柱ピッチを土地の記憶として残した。4500mmをモデュールとした柱を立てた。機能の入った球体を組み込み全体のボリュームから削りとることで切り取られた部分に空間ができる。
本設計によってさまざなま活動が行われることで幅広い年代の地域住民が楽しむことができ、子どもを地域で育てることにつながり、地域の日常的な居場所となることを期待する。
(文責:西川瑠奈)





c0028578_15341964.jpg岩田琴美 Kotomi IWATA
倉庫におけるコンバージョン事例の実態とその評価-岐阜市とその近郊におけるケーススタディー-
*本研究の目的・背景*
伝統産業の衰退、産業構造の変化などから、機能、空間としての産業施設の需要は減少し、それに伴い倉庫も役目を終えることとなる。一方、既存建築を再生・活用するコンバージョンという手法が注目され、倉庫を活用した事例が見られる。本研究では岐阜市およびその近郊における倉庫を対象とし、コンバージョンを行う際の留意点、改修方法の一端を明らかにすることを目的とする。
*調査方法*
 文献調査で、産業施設の事例を収集、整理し、本調査では、現用途、前用途の異なる5事例でヒアリング調査を行った。
*まとめ*
 本研究の結果、以下の知見が得られた。
1)内部空間の改善が重視されている、傾向がうかがえる。
2)倉庫を改修する際は、1)に加えて老朽化した外壁の回収も必要と思われる。
3)蔵を改修する際には、思い出入口扉に対する検討も必要と思われる。
4)改修を進めていくうちに追加改修の必要な箇所が発生する可能性がある。
(文責:植田宏貴)


c0028578_1533439.jpg野村彩弥加 Sayaka NOMURA
ワークスペースを有する小学校の活動実態と空間的特徴の関わり―岐阜市立岐阜小学校におけるケーススタディ―
*研究目的*
 ワークスペース(以下WS)がクラスルーム(以下CR)に隣接している岐阜市立岐阜小学校において、活動場所とその内容を記録し、小学校のWS・CRとその周辺環境の建築計画に関わる知見を得ること目的とする。
*研究方法*
 10分ごとの行為、集団、滞在場所を平面図上に記録する行動観察を行う。調査結果と撮影された写真から、授業時間・休み時間の活動実態と空間的特徴の関わりについて分析・考察する。
*結果・分析*
 授業時間の活動展開では、一斉授業・グループ活動・個人活動に分類することができ、学習科目や用途により使い分けがされていた。休み時間では、WSにて複数人で遊んだり勉強する姿が見られ、メディアスペースでは異学年が混在しており交流も見られた。晴天時には屋外の活動が多く、いくつかのグループを形成しており異学年との混合グループもあった。
 WSは単独で使用されることは少なく、CRと併用・連動させることによりCRの補助的な役割を果たしている。また、個人作業の場所とするかグループ活動の場として利用するかは教科によって異なることが分かった。CR・WS周辺では同学年交流、メディアスペース・屋外では異学年交流が見られることが明らかになった。
 本研究では調査データが少ない中まとめたため、児童の活動を把握することは難しい。そのため今後も継続して調査をし、利用者の空間に対する印象と利用の関わり、設計者の設計意図と使われ方の違いについても調査・分析することが望ましい。
(文責:川地成美)




c0028578_15343373.jpg坂翔太 Shota SAKA
S 保育園における年齢別保育の生活・空間的特性
*研究目的*
 園舎の建て替えとともに年齢別保育から異年齢保育に移行するS保育園を対象とし、建て替え前の状況を記録・分析することにより、S保育園における年齢別保育の生活・空間的特性を明らかにすることを目的とする。
*研究方法*
[予備調査] S保育園の保育活動や保育者の意見を把握するためにヒアリングおよびアンケート調査を行う。
[本調査①] クラス全体の活動実態を10分毎に記録する。
[本調査②] 園児1人1人を追跡し1分毎に場所・行為・集団を記録する。
*結果・考察*
 1~2歳児は様々な活動において、保育士が先に活動の準備を行い、別の保育士が園児と一緒にお遊戯をする等をしており、保育士が複数名必要となる。
 1~2歳児は保育活動の切り替え時に保育室空間を半分ずつに使い分けるため、場所を使い分ける空間要素が重要だと考えられる。
 1~2歳児は保育室全体や押入の床面が生活の中心であり、机や椅子は食事や工作などに使う。3~5歳児は机と椅子が生活の中心である。
(文責:福地貴文) 

Staff 平成21(2009)年度

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伊藤昌博 Masahiro ITO

『ダブル笑顔がバッチ・グ~dd(^^)』

キャプション評価法を用いた岐阜市中心街の印象評価
*研究目的*
 中心市街地の衰退が問題視されるなか、岐阜市の中心市街地である玉宮通りとその周辺地区では多種多様な店舗が集まっている若者に魅力的な町を形成している。他にも柳ヶ瀬商店街は岐阜県随一の商店街として、多世代の人に利用されている。これらの場所に人々が集まる要因として個々の店舗の魅力だけではなくファサードの面白さ、休憩スペースの存在なども関わっていると考えられる。
そこで本研究では魅力を明らかにする事によって、今後のまちなみづくりに関する知見を得ることを目的とする。
*研究方法*
①予備調査 
分析に先立ち、調査地の立面写真を撮影し、ファサードの連続写真を作成した。そして、調査地の全ての通りについて特徴的な空間的要素を抽出・記入した。
②キャプション評価法を用いた調査 
調査対象者がカメラを持って調査地を歩き、魅力的な場所、問題のある場所、違和感のある場所を写真撮影してもらい、撮影理由を評価シートに記入してもらった。 
*まとめ*
共通するキーワードとして「魅力的な場所」では「にぎわい」「明るさ」、「問題のある場所」では「廃れた印象」「暗い」が挙げられる。にぎわいを感じるディスプレイ、照明器具、ガラス張りの店舗ファサードを用いながら、建物取り壊しによって放置された土地と壁面、暗さを感じさせる空間の改善を行うことにより、より良い街並になり得ると考えられる。また、「違和感のある場所」のキーワードである特徴的な看板やファサードを用いることにより、街並みに個性的な表情を生み出すことができると考えられる。これらの共通点を活かすためには街並み各々の特徴を把握した上で適した形で応用することが求められる。
(文責:坂翔太)

c0028578_16494910.jpg岩田秀斗 Hideto IWATA
『キラーン☆これが目にはいらぬか~!!』

保育所・幼稚園における子どもの遊びタイプと空間的特性に関する考察
*研究目的*
 本研究では、1)保育所・幼稚園における遊び実態、2)幼稚園における遊び空間の改善とその効果を検証し、3)幼児の遊びタイプの特性を明らかにしたい。これらから、子どもの遊びに適応した空間的特性について考察し、保育所・幼稚園計画の知見を得ることを目的とする。
*研究方法*
 ①園児の遊びを場所と行為の動きについて動的・静的に分け、計4タイプ毎に調査人数に偏りがないように留意し、事例を収集した。
 ②登園から降園までの園児の行動を10分間隔で平面図にプロットし、その結果から不足していると考えられる遊びを抽出した。それらを遊具等で補った後に再度行動調査を行い、園児の遊びの質的変化について考察した。また、保育者に対してアンケート調査を行なった。
③既往研究データ1)から、1)5分以上連続している遊びを1場面とし遊び場面を抽出、2)1場面ごとに場所の移動と遊び方に着目し分類、3)2)から遊びタイプを導き出した。
*結語*
  子どもの遊び行為は遊び空間のあり方に大きく影響を受けている。本研究では様々な保育所・幼稚園において、遊び行為と空間的特性ついて考察し、子どもの遊びに適応した遊び空間について幾つかの知見を得た。これらが保育所・幼稚園を計画する際の資料となることを願う。
(文責:佐古彩香)

c0028578_16513889.jpg江﨑徹 Toru ESAKI
とおるのタイトル
*研究目的*
本研究では、箱庭手法を用いた実験を行い利用者の感情に適した空間のあり方を把握し、利用者が過ごしやすい飲食店を設計するための知見を得ることを目的とする。
*調査方法*
1)家具の配置やパターン
2)空間の詳細なイメージ
3)被験者の設置意図
などをヒアリングし、ビデオカメラで実験の様子を記録した。
*結果、分析*
これまでの分析を整理し、感情別にみた利用者が求める要素をまとめ、計画、行動、雰囲気、色、明るさ、配置傾向のカテゴリーに分類された要素を感情別にみていくことで、ある感情時に求められる要素を把握することが出来る。
飲食店は利用者にとって過ごしやすい空間である必要があり、その時々の感情に求められる空間的特徴を把握することは重要である。本研究では、箱庭手法を用いた実験を感情別に行うことで、被験者の感情に合わせて求められる飲食店のあり方を考究した。にぎやかな飲食店、悩みを癒すための飲食店など、飲食店のコンセプトを空間化するための資料が得られたと考えられる。
(文責:岩田琴美)



c0028578_16552251.jpg田上菜美 Nami TAGAMI
『あ゛~ お母さんおらへぇ~ん』


共同生活に求められる居住空間の建築的特性 ルームシェアと寮におけるケーススタディ
*研究目的*
 本研究は、ルームシェアと本校の雄志寮におけるそれぞれのprivate-public領域の感じ方、プライバシー意識、生活パターンなどから、空間に対する同居者間の関係を読み解き、ルームシェアと寮の居住空間の領域の感じ方を比較する。
そして、共同生活の居住空間に求められる計画的知見を明らかにすることを目的とする。
*調査方法*
<寮における生活パターンと個室の領域形成> 
 ルームシェア・寮における同居者間のpublic-private領域の感じ方、プライバシー意識、生活スタイルの実態を把握することを目的としたアンケート調査を岐阜高専の雄志寮のうち2人部屋であるB寮、第1女子寮、第2女子寮に住む学生に実施。
<ルームシェアにおける生活パターンと個人的領域>
 ルームシェアをしている、経験がある人を対象に協力が得られた人にアンケート調査を実施。(恋人同士の同棲はルームシェアの対象外とする)
*結果、分析*
 個人的領域形成がpublic領域にもみられる場合は、public領域に個人的領域形成を促すしくみ(交流の場の設定、家具の配置)がみられ、同居者間の交流を深めようとしている。
 個人的領域形成が主にprivate領域(自室)にみられる事例は、同居者間の生活スタイルがずれていること、個室の独立性が高いことが影響していると思われる。
 個室がなく全体がpublic領域である事例は特にプライバシーを意識していない。B寮の一部の事例が当てはまり、男性のみにみられる。
 1ルームをシェアしている場合では、public領域の中に自分の場所であるprivate領域が形成されており、一つの部屋の中で領域が分かれている。女子寮や主なB寮での事例が当てはまる。
 ルームシェア空間に求められる建築計画上の視点としては、
1)同居者間の親密度や各々に望まれる関係性を考慮したprivate-public領域形成を促すしくみを設けること
2)同居者間の関係だけでなく、間取り・家具の配置が領域形成に影響を及ぼすこと
などが挙げられ、それを考慮した空間計画が必要であろう。
 共同生活では同居者間の関係が暮らしやすさを大きく左右すると思われる。
本研究では、各々に望まれる同居者間の関係性を保ちながら生活でききるプラン構成を提案した。
 (文責:野村彩弥加)

c0028578_1655412.jpg岩田卓也 Takuya IWATA
『さあ、僕と一緒に行こうよ♪』


home & homeless ホームレスが自立へと向かう場の提案
*設計目的*
 日本には自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた者が多数存在し、健康で文化的な生活を送ることができないでいる。路上生活者、野宿者などのホームレスの数は全国14554人、ネットカフェ難民は約4700~5400人に及ぶ3)。住まいを持てないことは生死にも関わる深刻な問題であり、問題の解決に取り組むことが急務である。
一方で、2009年12月の完全失業者数は14ヶ月連続で増加している。失業者が最後に行き着くのはホームレスやネットカフェ難民である。失業者が増加するこの時代だからこそ、居住貧困について考えていくことが必要ではないだろうか。
*計画対象地の概要*
対象敷地は名古屋市笹島である。笹島には居住貧困の歴史があり、その経緯からホームレスを支えるための施設がある。
*計画概要*
 テーマは「質素」でありながら「豊かな場」をつくることである。ホームレスの生活を支え、自立へと向かうことを目的とするため、そこでの生活は質素であるべきであり、ある程度の不便や、狭さを感じる空間であっても意図する行為に必要な大きさがあれば十分と考えた。 
*設計概要*
居住者が8人のグループで1つの「home」と呼ばれる建物に住み、その中で共同生活を行うプランとした。居住者には必ず個室があり、LDKやトイレをその「home」の中で共有する。「home」では一人一人に役割が与えられ、支援されつつも食事の準備や掃除、洗濯などを居住者自ら行っていく。全てで7棟の「home」があり、それぞれが1階に浴場や図書、洗濯場など全体の共有空間となる機能や役割を1つずつ持つよう計画した。そうすることでプライベートに閉じた堅実な居場所を持ちながら、居住者が自由に出入りし、交流する開いたパブリックな場所ができると考えた。こういった建築が与える人と人との間合い、関係性を大切にすることで居住者のトラブルが抑制される適度に協調した場にしようと試みた。
(文責:佐古彩香)

c0028578_1657646.jpg加藤未知麻 Michima KATO
利用者の感情別に見た飲食店に求められる空間的特性
*研究目的*
 感情に適した空間のあり方、利用者の感情に適した飲食店空間のあり方を把握することで、より細やかな設計を可能にすることが出来る。本研究では、利用者が感情別に求める飲食店の空間的特性を明らかにすることを目的とする。
*調査方法*
1)文献調査による感情想起に関する妥当性の検証
2)クラスター分析を用いた箱庭模型の配置傾向の分析
3)同一被験者が作成した異なる感情時の箱庭模型の比較を行う。
*結果、分析*
既往研究の分析を含めたこれまでの分析を整理し、感情別にみた利用者が求める配置要素をまとめた。これにより、ある感情時に求められる配置傾向を把握することが出来る。
飲食店は利用者にとって過ごしやすい空間である必要があり、その時々の感情に求められる空間的特徴を把握することは重要である。本研究では、箱庭手法を用いた実験を感情別に行った既往研究の結果を扱ったことで、被験者の感情に合わせて求められる飲食店のあり方を考究した。このことは、これからの飲食店計画の指針として重要だといえaるだろう。
(文責:岩田琴美)


c0028578_1658367.jpg野原加絵 Kae NOHARA


幼稚園における幼児の遊び方のタイプ分類
*研究目的*
本研究では、幼児にとってふさわしい園環境を充実させるために幼稚園における幼児の遊び方の特性を把握し、タイプとして分類することによって幼児に必要であると思われる場所を考察することを目的とする。
*研究方法*
 ①平面計画に特徴のある7園において5分以上連続している遊びを1場面として抽出する。
 ②1場面ごとの場所の移動と遊び方に着目し9つに分類する。
 ③分類した遊び方を既往研究のデータをもとに分析し、遊び方のタイプを導き出し考察する。
*結果、まとめ*
男女別では、男児は道、女児は遊具や飼育小屋などに滞在していた。また学年別では、年少は遊具、年中は遊具や家具、年長はオープンスペースで遊ぶ姿が見られた。また園別で見ると全ての場所でオープンスペースを使用して遊んでいた。そして、地層のくぼみやデッキテラスなどそれぞれの園に存在している自然コーナーやそこを繋ぐ道などで多く遊ばれていた。
結論として全ての園でオープンスペースが使われた事から、オープンスペースへのアクセスのしやすさが計画のポイントであると思われる。また、オープンスペースと道や自然コーナー・遊具・家具の配置を近くすることも重要だと思われる。
(文責:坂翔太)

c0028578_16595033.jpg藤澤光治 Koji FUJISAWA
『こりゃ まいりましたな』


キャプション評価法を用いた美殿町界隈と柳ヶ瀬商店街の印象評価
*研究目的*
 本研究では、美殿町界隈、柳ヶ瀬商店街の印象をキャプション評価法を用いた調査から魅力的な点、問題点、違和感を感じる点を抽出し、美殿町界隈と柳ヶ瀬商店街の魅力を明らかにし、まちなみづくりの知見を得ることを目的とする。
*調査方法*
  美殿町界隈・柳ヶ瀬商店街の空間的特徴をまとめ、各調査地に対する人々の印象を知るためキャプション評価法を用いた実験を行う。
 ①予備調査
  ・美殿町界隈・柳ヶ瀬商店街の簡略化したマップを作成。
  ・マップと評価シート、キャプション評価法を用いたアンケート調査の手順を載せた調査の説明書を作成。
  ・美殿町界隈と柳ヶ瀬商店街の店舗のファサードの連続写真を作成。
 ②キャプション評価法を用いたアンケート調査
  ・カメラを持って美殿町界隈、柳ヶ瀬商店街を歩いてもらい、「良いなぁ、好きだなぁ」、「嫌だなぁ、嫌いだなぁ」、「何か気になる、違和感がある」と感じたものを写真撮影してもらい、そのものを撮影した理由を評価シートに記入してもらう。
  そして撮影してもらった写真をキャプション評価法で評価する。
*結果、分析*
 「美観」というキーワードに着目すると柳ヶ瀬商店街の方が美殿町界隈よりも注目されている。柳ヶ瀬商店街にはアーケードがかかっており、建物の上部を見ることが出来ないため、周囲との調和よりも各店舗のファサードが目立ち、「美観」に関するキャプションが多く、個々の店舗の印象が評価を分けるポイントとなった。一方で、美殿町界隈のように開放的な通りの場合は「雰囲気」「秩序」に関するキャプションが多く、周囲の建物や環境との調和・統一が評価のポイントとなった。
(文責:野村彩弥加)

c0028578_1705427.jpg増田奈津実 Natumi MASUDA
『(ほっぺが赤いのは仕様です。)』


幼稚園における遊び環境要素設置前後のこどもの遊び変化
*研究目的*
 本研究では遊び空間の質を向上するために必要と思われる遊具等を配置することで、その前後のこどもの遊びに生じる変化を調査し、こどもの遊び場に求められる空間的要素に関する知見を得ることを目的とする。
*調査方法*
 登園から降園までのこどもの活動を10分間隔で平面図にプロットし、遊びの分布図を作成する。その結果から求められている遊び空間を考察し、それらを遊び環境要素で補った後の行動調査からこどもの遊びの変化を把握する。また、保育者からみたこどもの遊びの変化を読み取るためにアンケート調査を行う。
*結果、分析*
 設置前では、園舎内の遊びよりも園庭の遊び内容に多様性がないと思われた。そのため、園庭を対象とした遊び環境要素の考察をすると園庭で遊ぶこどもは平たい面やこもった空間を求める傾向にあるとわかった。また、調査中に園舎と園庭を行き来するこどもはあまり観察されなかった。これらの結果を踏まえて、机(平たい面の確保)、ついたて(こもれる空間の創出)、ウッドデッキ(園舎と園庭の出入りを促す目的)の3つの遊び環境要素を制作した。
 アンケート調査では机とついたてはよく活用されていると回答があり、同時に壊れやすいという問題点を指摘された。天候や季節に左右されるウッドデッキは活用されにくく、マットを敷くなど改善が必要ということが分かった。さらに、これらには共通して接合部から釘が出ないような工夫や、頑丈であるということが重要になってくるといえる。また、園舎と園庭のつながりを増やすには、こどもにとって居心地のよいウッドデッキを設置することが挙げられる。
 本研究で得られたこどもの遊び空間に関する知見が、今後の保育空間の計画に役立つことを願う。
(文責:野原麻由)

c0028578_17329100.jpg南佳祐 Keisuke MINAMI
『これは僕のだ!! むしゃむしゃ』


幼稚園におけるハード・ソフト面に対するWS参加者の視点の違い‐ワークショップ手法を用いた幼稚園の遊具の製作‐

*研究目的*
 近年、公共建築の設計プロセスやまちづくりの協議、ある空間に必要とされる物の計画において、市民参加型のワークショップ(以下WS)が行われている。本研究では幼稚園の遊具製作WSにおいて、WS参加者のハード・ソフト面に対する視点の違いを明らかにすることを目的とする。
*調査方法*
①第一段階:WSは園に必要な遊びを抽出する(第1回WS)
②第二段階;物の形を決める(第2回WS、第3回WS)
③第三段階:物を製作する(第4回WS、第5回WS)
以上計5回行った。WSの実施中はビデオ撮影で記録し、参加者の代表的な発言を抽出・分類した。
*結果、分析*
 調査の結果、研究者は研究で得られた知見を基にした発言・園児の視点に立った発言が多く見られ、学生は発言者自身の視点での発言が多く見られた。
発言の割合が同程度であった研究者、学生の間でも視点の違いを明らかにすることが出来た。
 WS参加者の視点は、それぞれの立場によって違いがあることがわかった。その理由として、設計者は設計を行う際にソフト面についても考えるが、最終的にそれをハードに落とす作業を行うためだと考えられる。施設関係者は、普段は保育について考えることが多いためだと考えられる。研究者は、自ら研究を行うことに加え、設計についての知識も有するため、設計者と施設関係者両者の間に位置する立場であると考えられる。学生は、普段の学生生活の中でハード・ソフト面の両方を学んでいるためだと考えられる。
WSを行う際は、それぞれの視点の違いの傾向を認識し、参加者の多様な意見を上手く拾い上げる意識が必要と思われる。
(文責:野原麻由)

Staff 平成20(2008)年度

c0028578_16141121.jpg

大西裕太郎 Yuutarou OONISHI


『勇者オルテガなのに、格好は変質者じゃねえか。そう思っていた時期が僕にもありました。』


「服飾店における空間構成の特徴と周辺環境の評価」
*研究目的*
 本研究では利用者に好まれる服飾店の内装・ファサード、通りにおける服飾店の立地条件や他店舗との関係性などの周辺環境評価について把握することで、今後の服飾店計画の指標となることを目的とする。
*調査方法*
①服飾店の内装評価(玉宮町):アンケート調査
②服飾店のファサード評価(大須商店街):SD法を用いたアンケート調査
③服飾店周辺環境の評価(玉宮町):ヒアリング調査
*結果、分析*
①調査から得た知見をもとに服飾店における内装の魅力を高めるための設計フローチャートを作成した。対象の性別から内装の基調となる色を選択し、次に什器の量を選択することで6種類のグループに分類できる。これにより利用者層と内装で配慮すべき明るさ、ディスプレイ、雰囲気について導き出すことができる。
②因子分析と店舗別形容詞対評価の結果から、服飾店ファサードは5つのタイプに類型化できた。Aほんわか、B落ち着いた雰囲気を店舗ファサードに持たせたい場合、「暖かい」、「やわらかい」、「親しみのある」、「広い」、「明るい」印象になるように配慮し、これらと対照的なDクールでは「暗い」、「冷たい」、「固い」、「よそよそしい」等の配慮が考えられる。
③共通回答として、駐車場がほしい」が挙げられる。岐阜県は郊外に大型ショッピングモールが乱立し街中が空洞化する事態になっている。電車の市内線の廃線や車社会への移行などからその事態へ繋がったのではないかと思われるが、車で来店する人が増えてきているのであれば駐車場がほしいという理由も納得できる。また、「入りにくい・分かりにくい・見つけにくい」がある。半地下や2階にある店舗は奥に何が広がっているのか分からないという不安や、前に述べたように敷居が高くなっていることから入りにくいと思われている。分かりにくく見つけにくいことから、偶然発見し入ることより、あらかじめ調べて入ることの方が多いと思われる。
(文責:伊藤昌博)


c0028578_16445492.jpg松井寛子  Hiroko MATSUI

『あなたの鼻から、何かでてますよ。』



「こどもの遊びの動きからみた遊び場に求められる空間要素」

本研究は、主として幼児の遊び実態を反映させた遊具で発生する動作を観察・分析することで遊び場を構成する空間要素にどのような特徴があるかを抽出する。
まず、こどもの遊び実態を観察し、その結果から5つの動線の型を導き出した。
次に、タイプごとにより多く観察された動作を引き出す空間要素を組み合わせることで遊具を設計し、実際に制作した。
そして、その遊具で遊ぶこどもを観察し、遊びの動きと空間要素の関係について考察した。
結果として、5つの遊び動線の型それぞれに対して有効である空間要素をまとめた。

回遊型:身長以下の段差、固定遊具、回遊性、要素の不連続、広い空間、つかめる部分
反復型:身長以上/以下の段差、固定/組立遊具、広い空間、つかめる部分
通過型:身長以上の段差、固定遊具、要素の不連続、広い/狭い空間、目印、目隠し
回帰型:固定遊具、回遊性、広い空間、目印
停滞型:身長以下の段差、固定/組立遊具、要素の不連続、狭い空間、目印、目隠し、つかめる部分



c0028578_16461149.jpg伊藤昌博 Masahiro ITO


『ダブル笑顔がバッチ・グ~dd(^^)』


c0028578_16494910.jpg岩田秀斗 Hideto IWATA


『キラーン☆これが目にはいらぬか~!!』


c0028578_162404.jpg江﨑徹 Toru ESAKI

『朝日がまぶし~~』


c0028578_16552251.jpg田上菜美 Nami TAGAMI


『あ゛~ お母さんおらへぇ~ん』


c0028578_16271020.jpg臼井悠 Haruka USUI

『大好物:三角のつみき』

「利用者の感情別にみた飲食店に求められる空間的特性」
*研究目的*
 本研究は、各感情を対にした4グループ[喜-怒][喜-哀][楽-怒][楽-哀]について、感情を比較して得られた類似点・相違点から、利用者が感情別に求める飲食店の空間的特性を明らかにすることを目的とする。
*調査方法*
箱庭手法を用いた実験を被験者に行ってもらう。
1)家具模型の配置やパターン
2)想定空間の詳細なイメージ
3)被験者の設置意図
などをヒアリングし、ビデオカメラで撮影した。
*結果、分析*
①二つの感情時の箱庭比較:同一被験者における二つの感情時の箱庭模型には差がみられ、この箱庭手法を用いた実験は妥当であると考えられる。
②利用人数:各感情の平均値から、怒・哀は少人数での利用を想定している。また、喜は他の感情より全体的に人数が多く、楽は個人差が大きかった。
③テーブル数と座席数の比較:喜・怒・哀と比べると、楽はテーブルに対する座席数を少なく設定する被験者が半数を占めていた。
④一人当たりの床面積:おもに喜・怒はゆったりとした空間、哀・楽は座席数が多く少し窮屈な空間を想定している。
⑤物的要素の面積比率:喜のテーブル席は最も高く、カウンター席は最も低い。怒のテーブル席と座敷席はともに低く、カウンター席は最も高い。空きスペースも空間の半分以上を占める。哀のカウンター席と座敷席は最も高い。楽のテーブル席の割合は高く、カウンター席の割合は低い。
⑥飲食店計画に関わるキーワード:[行動]どの感情も話したいと思っている。しかし、喜だけは共に来店した友人同士で話したいという気持ちがある。[雰囲気]どの感情も落ち着きを求めている。[視覚的要素]被験者全員が視線を考慮している。
(文責:加藤未知麻)


c0028578_16313754.jpg佐野陽祐 Yosuke SANO

『基本、写真では不機嫌』

「ルームシェアにおける同居者間の関係が個人的領域形成に及ぼす影響」
*研究目的*
 本研究は、ルームシェアにおける同居者間のprivate-public領域の感じ方、プライバシー意識、生活スタイルなどから空間に対する同居者間のの関係を読み解き、ルームシェア空間に求められる計画的知見を明らかにすることを目的とする。
*調査方法*
ルームシェアをしている、もしくは経験がある人を対象にアンケートを実施。
アンケート項目は、
1)生活リズム
2)間取り
3)①同居者の存在を意識する行動・場所
  ②重要な場所
  ③ルームシェアで工夫した点
4)private-public領域評価などである。
*結果、分析*
アンケートより生活スタイルと個人的領域の意識評価を行った
①泣きたい時に泣く場所:生活スタイルにずれがある場合は自室のベットが多い。その他にはお風呂のように利用時に他者が来ない場所も挙げられた。
②よく電話する場所:自室のベットが多い。同居者から遠い場所(脱衣所)、音を遮断できる場所(玄関)では同居者に迷惑がかからないようにしている。
③自分にとって重要な場所:自室のベッドと共通の場所が多く、同居者の部屋も挙げられている。共通の場所に同居者同士で重要視している家具や場所があることで交流の場が形成されている。
④プライバシーを守るために工夫したところ:共通の場所では、視線が気になる為、リビングと自室、リビングと玄関といった部屋の境界に工夫が見られる。 
⑤レイアウトで工夫したところ:同居者との良い関係を保つため、同居者間で共通の場所を平等に利用できるように、家具の配置、家具の境界に工夫が見られる。
(文責:岩田卓也)


c0028578_16332726.jpg中村拓磨 Takuma NAKAMURA

『イケメンの原点は・・・smile80%☆』

「都会っ子計画-都市部における教育および保育の場-」
*研究目的*
 本設計では名古屋市中区栄に施設内だけで完結せず、街と融合した認定こども園を設計することで、そこに働く人、その子ども達、栄を訪れる人にとって魅力ある教育・保育の場を造ることで新たな大人と子どもの関わりを生み、それを繋ぐ園のあり方を提案することを目的とする。
*計画対象地の概要*
 対象敷地は名古屋市最大の繁華街である。これは昼夜間人口比率が494.6%と大きいことからわかる。
 また、道路に沿って設けられた公園が広域に及び、地下街が発達している。 
*計画概要*
 本設計では街の通りに園内の動線を組み込み、大人と幼児の交流の場を随所に点在させた。また、人通りが多い栄地下街のあるレベル(地価5.4m)を基本階とし、建物間に生じた空間が地下を通る人の導線となることで園内の動線との間に交点が生まれるように意図した。
 そこに様々な要素を配置することにより子どもと大人に多様な交流が発生すると思われる。また、聴覚・嗅覚で互いを認識する事も「接する」ことと位置づけた。そして、交点だけでなく多様な接点を随所に設ける事で、互いの意識が相手の空間へと溢れ出し、他者との関係が生まれると考えられる。
 このような様々な交点、接点を設ける事で、子どもと大人の段階を踏んだ交流が可能となろう。
(文責:南佳祐)

c0028578_16401556.jpg長谷川尚美 Naomi HASEGAWA

『私の笑顔はpriceless♪』

「キャプション評価法を用いた玉宮通りとその周辺地区の印象評価」
*研究目的*
  本研究では、キャプション評価法を用いて玉宮町通りとその周辺地域の魅力、問題などを抽出し
『玉宮まちづくり協定』と照らしあわせて、まちなみづくりの知見を得ることを目的とする。
*調査方法*
①予備調査
 ・玉宮町通りに並ぶ店舗の連続写真、簡易マップを作成。
 ・まちづくり協定が反映されている箇所をマップ上にチェックする。
 ・マップと評価シート、キャプション評価法を用いたアンケートの手順を載せた
  調査の説明書を作成。
②キャプション評価法を用いたアンケート
 ・カメラを持って玉宮町通りとその周辺を歩いてもらい、
  「いいなぁ」「嫌いだなぁ」「気になるなぁ」と感じるものを写真撮影し、
  撮影理由をシートに記入してもらう。
  そして、撮影してもらった写真をキャプション評価法で評価する。
*研究結果*
  隣接する建物、街並みとの調和、古い建物の有効利用、賑わいを感じるディスプレイ、
 個性的な店舗デザインなどが評価された。駐車場のさびれた印象や、建物取り壊しにより
 露になった壁面、鳥の糞などの対策が課題である。
(文責:藤澤光治)


c0028578_1641963.jpg長谷川万記 Maki HASEGAWA

『今より幼いでしょ?』

「保育所・幼稚園における遊び行為の展開にかかわる空間的特性」
*研究目的*
 本研究は、保育所・幼稚園における幼児の遊びがどのような影響を受け、移り変わっていくのかを把握することで、遊び行為の展開にかかわる空間的特性について知見を得ることを目的とする。
*調査方法*
まずは遊びの動きについて、
1)場所の移動
2)行為そのもの
に分けて考え、4つのパターンを想定。
そして1人の園児を1~2分間、およそ毎秒写真撮影した。
*結果、分析*
得られたデータから特徴的な事例を取り上げ、行為の動線と共に空間的・人的要因について考察した。
①場所-動×人の動き-動(動×動):園児が走り出すきっかけは集団・物に興味を持つことである。よって、走り回る遊びの発生には、広い空間、遊具・屋内から遊具が見えやすい位置にあることが関わっている。
②場所-静×人の動き-静(静×静):先生の存在などで安心感を得ることができるため、家庭的な空間の影響を受けていると思われる。これらより、座る、寝転ぶ、一人でのんびりする、集団で固まることができる空間が関わっている。
③場所-動×人の動き-静(動×静):先生・友達・自然物などの影響を受け場所を移動する場合と、遊具と椅子を行き来する場合とある。共通点は周囲を気にしている点であるため、拠点から周囲が見えやすいようにする。
④場所-静×人の動き-動(静×動):牛乳パック遊びのように、新しくできた物や空間を使った遊びをしたり、35度程度の斜面・20cm程度の高さの遊具・空間が遊びを誘発している。これらから静×動は自ら遊び方を工夫して遊んでいる。
(文責:野原加絵)


c0028578_13201794.jpg松浦史佳 Fumika MATSUURA

『わたしのスッピン』

「冒険の森-公園から地域へと拡がる遊びの場の提案-」
*研究目的*
 幼児期から児童期に経験する遊びは精神的・身体的に多くのことを学ぶことができる。ところが、遊びの空間・時間・量の減少や禁止事項が多く遊びが抑制されるなどといったことから、外で遊ばない子や遊びを知らない子どもが増えるなど、遊びの内容に偏りが見られる。
 これらの問題を改善するためには都市部の子どもたちが自然と関わって遊べるような空間が必要である。本設計では、人々の憩いの場・子どもたちの遊びの場として利用されてきた「公園」の遊び空間を地域へと拡げ、ネットワーク化することで、よりよい遊び空間を提案したい。
*設計コンセプト*
 1)エッジ:既存研究より、子どもに遊びを促す要素として「エッジ」のある空間が重要だと考えた。街の空きスペースを平面的にグリッド化し、1500×1500mmの1グリッドずつ素材を変える・断面的に高低差をつけることで、遊び場となる空間に「エッジ」を多く生み出すこととした。
 2)波紋 :街の空きスペースに子どもという刺激が落とされることで波紋のように遊びに拡がりが生まれると考えた。さらに、異なる遊びや素材・道具を刺激として落とすことで遊びが拡がると考えた。これを「遊波紋」と名づけ、本設計に落とし込むこととした。
*設計内容*
 本設計では、3パタンのグリッドと「遊波紋」を反映させた空間をつくった。また、本設計は住宅に隣接した遊び場となっている。そのため、住宅周辺は住民も一緒に利用可能な場所を取り入れ、大人と子どもの波紋を重なるようにし、地域で見守ることのできる遊び場を提案した。
(文責:南佳祐) 

Staff 平成19(2007)年度

c0028578_16325659.jpg

服部真和 Masakazu HATTORI


『やっぱりカレーはジャワカレー』

「利用者の感情別にみた飲食店に求められる空間的特性」
本研究では、利用者の感情別にみた飲食店の評価や嗜好、理想とする飲食店像を把握し、よりよい飲食店計画の知見を得ることを目的とする。研究の流れとしては、現在の飲食店空間の実態と女性の嗜好について把握した後、A)評価グリッド法を用いた感情別の飲食店評価、B)箱庭手法を用いた利用者の感情別飲食店像、の2つの実験結果から、感情別にみた飲食店に求められる空間的特性を把握し、計画的指針を示す。
実験より得られたキーワードをもとに、利用者が飲食店空間に求めている意識的項目・空間的項目は、
1)喜:普段では体験できない「特別な空間」、という印象 or おしゃれかつモダンな雰囲気が必要な要素である。例えば、間接照明を用いた照明計画や、仕切りにガラスを用いるなどの計画が挙げられる。
2)怒:自分の居場所を見つけられるよう、入り口から店舗全体が見えるような計画 or 話す相手と距離が近い座席形態が求められている。装飾はできるだけ感情を刺激しないような配慮をしつつ、黒や茶といった重いイメージの色を用いた色彩計画や、店舗を出るときのために明るい空間計画も必要である。
3)哀:周りの影響を受けたくない意識が強いため、被験者が「守られ感」を感じられる座席形態 or 哀しみの度合いにより異なる、飲食店に求める雰囲気や明るさ、装飾が大切な要素である。
4)楽:楽しい感情を妨げないよう、配膳やトイレまでの動線が明確に確保された計画 or簡単にテーブルを移動できる、一定のスペースを空けておくといった配慮のあるソファ席などの席形態のほうが良いと考えられる。また、窓から見える景色も同時に計画。
のようなものが挙げられ、被験者の飲食店に関する評価や、飲食店の理想像を感情別に把握することで、被験者の感情に合わせて求められる飲食店のあり方を考究した。
(文責 松浦史佳)

c0028578_16375259.jpg西尾崇志 Takashi NISHIO


『若かりしすとれーとへあー』

c0028578_16432649.jpg大西裕太郎 Yuutarou OONISHI


『あ~ めんどくせ~』

c0028578_16445492.jpg松井寛子  Hiroko MATSUI


『わたしってカワイイでしょ?そうでしょ♪♪』



c0028578_16461149.jpg伊藤昌博 Masahiro ITO


『with 大好きなじーちゃん』

「大須商店街の服飾店ファサードに対する人々の印象評価」
*研究目的*
服飾店建築において、商品価値を高めようとするための斬新なファサードに対する人々の印象評価について知見を得ることを目的とする。
*調査方法*
①大須商店街の服飾店を対象に、特徴があると思われるファサード正面からの写真を撮影を行う。
②色、素材、開口部の大きさ、ディスプレイなどの特性を鑑み、調査対象を10店舗に絞る。
③SD法を用いたアンケートを行う。服飾店舗の写真を見て、13項目の形容詞対に5段階で評価してもらう。
*結果・分析*
服飾店ファサードに対する印象評価
①各店舗と全体について因子分析を行い、寄与率の値から、”ほんわかした”、”規律的な”、”市場的な”、”開放的な”の4因子を抽出。
②形容詞対毎に店舗別形容詞対評価を算出し、評価傾向より店舗を類型化。形容詞対に対する評価傾向を鑑み、ほんわか、落ち着いた、活気のある、クール、バランスと名づける。
-好まれる服飾店ファサードのキーワード-
①店舗別に、「好き」と答えた被験者の形容詞対評価を算出。
②形容詞対における好み評価。以下は、「好き」と答えた被験者の割合。ほんわか59%、落ち着いた61%、活気のある18%、クール47%、バランス39%
*まとめ*
因子分析と店舗別形容詞対評価の結果から、ほんわか、落ち着いた雰囲気を店舗に持たせたい場合、「暖かい」、「やわらかい」、「親しみのある」、「広い」、「明るい」等に配慮し、これらと対照的なクールでは、「暗い」、「冷たい」、「固い」、「よそよそしい」等の配慮が考えられる。
(文責 長谷川尚美)

c0028578_16494910.jpg岩田秀斗 Hideto IWATA


『うん、まずいわこれ』

「飲食店の空間的特徴と窓のデザインに関する嗜好評価」
*研究目的*
 本研究では、特徴的な飲食店空間において、デザインの嗜好評価を分析し、飲食店の空間的特徴に適した窓デザインに関する知見を得ることを目的とする。
*研究・調査方法*
 ・既住研究にて収集した飲食店の図面から、壁面に対する窓面積比率を算出、分析。
 ・色数と明るさから店舗を類傾化し、タイプ(単色‐暗い、中間、多色‐明るい)の異なる3店舗を調査対象に選定し、3店舗の窓の大きさを3段階に加工した写真を用いて、嗜好評価アンケートを10代~50代の男女50人に実施。
*考察・結果*
・壁面に対する窓面積比率
 窓がないものや飛びぬけて窓が大きい店舗もあったが、比較的壁面に対する窓面積比率は20~30%であった。
・店舗別の窓デザインに関する知見
 <単色‐暗い>  店の雰囲気を生かした窓の計画が望まれる
 <中間>     外部からなるべく見えないように配慮しつつ、外の風景がみられること
窓とテーブル配置を合致させる場合、窓間の距離を適切にする
 <多色‐明るい> 光がしっかりと差し込むような大きさの窓を設けることが望ましい
(文責 佐野陽祐)

c0028578_16522669.jpg江崎徹 Tooru ESAKI


『わがしょうがいにいっぺんのくいなし!』

「利用者の感情別にみた飲食店に求められる空間的特性」
箱庭手法を用いた実験を行い、利用者の感情別にみた飲食店に求められる空間的特性を明らかにすることを目的とする。
縮尺1/15の模型を用いて喜怒哀楽の感情を想定してもらい、その感情時行きたい飲食店を自由に作成してもらう事で調査した。その結果以下のような要素が求められた。
喜) 友人、他の利用者と喜びを共有、にぎやかさ、おしゃれ、モダンな雰囲気、「普段よりも良い場所」
怒) 空間を感情の度合いによって遮断する、気持ちを静める、静かで温かみのある空間哀) 1人になりたい場合、誰かに手を差し伸べてもらいたい場合の空間、悩みを相談できる、落ち着き、静かさ、温かさ、気を紛らわす為の飲酒
楽) 友人、他の利用者と騒ぎ、共有できる、感情を妨げる不安要素が干渉しない、楽しさの増幅、にぎわい
この要求を満たすために喜、楽においては一人当たりの面積が広く、複数人での利用を考慮した座席計画、また窓を多く設置し、開放的な空間を計画。怒、哀においてはバータイプの飲食店、少人数での利用、視線の交流を避ける、飲酒ができる、感情を刺激しない装飾、入り口から店舗の全景が見える考慮をすると良い。
(文責 中村拓磨)
c0028578_1654421.jpg大家苗 Nae OOYA


『くるくるかーりーへあー』

「幼稚園における幼児の遊びを誘発する空間的要因-ブロック型製作遊具を用いたケーススタディー」
*本研究*
幼稚園における幼児の遊び行動を観察し、得られたデータを元に遊具を製作・設置する。その後、遊びの状況を分析することで、遊びを誘発する空間的要因を得ることを目的とする。
*調査方法*
1)5分毎に幼児の行為・位置をプロットし、遊びの全体像を把握した。
2)代表的と思われる遊びについて動画データから幼児の遊びの流れを把握した。
*結果*
代表的な遊びとして、4行為のハード的要因がある。
①とびうつる⇒ユニットの大きさや足場の連続といったユニット形状。
②ぐるぐるまわる⇒連続したユニット配置による回遊性により引き出される。
③ぶらさがる⇒つかみやすい形状であり、高さ空間にゆとりがあることが必要。
④ていたい⇒せまい・座れる空間といった存在により引き出させる。
この他、幼児がアクセスしてくる方向をへこませることで遊具へのアプローチがしやすくなり、同じレベルの面が連続している途中にとび出ているものを配置することで、行為が変化する。
*考察*
行為と場所の関係を把握することで、遊びに必要と思われる空間的要因に関する知見を得た。遊びを誘発するには、遊具の固定、足場の面積確保が前提となり、凸凹があることで遊びが多様化すると考えられる。遊びが活発になるほど、事故が起きる可能性が高くなるが、遊びの中で幼児自身が危険を体感することも、大切な遊びの一つである。
(文責 長谷川万記)

c0028578_16552251.jpg田上菜美 Nami Tagami


『いいえ私はさそり座のおんな♪』

「岐阜市玉宮町界隈の服飾店における内装の特徴と利用者評価」
~目的~
本研究では、服飾店の内装に着目し、その構成要素(内装の特徴と利用者評価のかかわり、服飾店の魅力を高めるような内装)を把握することとした。
~調査方法~
そこでまず、先に挙げた知見を得る為に岐阜市玉宮町界隈における若者向け服飾店の什器数(多い⇔少ない)・色(黒っぽい⇔白っぽい)を分類化した。その中で典型的と思われる4店舗を調査対象とし、内装の写真を撮影し、その写真から、①特徴的な構成要素、②全体の明るさ(3段階評価)について、アンケート調査を行った。
~調査結果~ 
①特徴的な構成要素:全体的な意見として、構成要素の量は「普通」程度が好まれる傾向にある。しかしながら、若者からは、内装が「白っぽい」ならば構成要素の量は「多い」ほうが好まれ、少し年層の高い30代からは、内装の色どうこう以前に構成要素の量が「多いよりは減らしてシンプルな空間」のほうが好まれる傾向にあるようだ。また、男女の感覚の違いからくる差というのも若干現れているようだ。
②全体の明るさ:全体的な意見として、店舗の明るさは「普通」または「明るい」が好まれる傾向にあるようだ。
~考察~
以上の知見を詳しく検証し、服飾店の魅力を高めるための設計フローチャートを製作した。そして、本研究において、年代や性別によって好まれる空間の特徴を把握した。今後服飾店を計画する際は、利用する年代や性別を想定し、それに見合った空間を設計することが大事になってくると言えるだろう。
(文責 臼井悠)

Staff 平成18(2006)年度

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安藤千春  Chiharu ANDO
「幼稚園・保育所における幼児間の交流を誘発する空間のあり方」
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本研究は、A)幼稚園・保育所における計画的傾向、B)行動観察調査による幼児の交流実態を把握し、幼児間の交流を誘発する幼稚園・保育所の計画的指針を得ることを目的とする。 
A)は、幼稚園・保育所のプランを用途別容積比率で概観し、活動実態に関するアンケート調査を行った。幼稚園・保育所の計画的傾向に加え、保育者の面積評価を盛り込んだ規模計画について、①大規模幼稚園での遊戯室比率の低下が見られる、②大規模は片廊下型・小規模は一室型のプランが多く見られる、③用途別面積傾向と活動実態の相関性が低い、④保育室の規模は2.5㎡/人程度が目安になる、⑤遊戯室の規模は1.4㎡/人程度(ただし、動的・静的遊びへの空間の連携を考慮する)が目安になる、などの知見を得た。 
 B)は、幼稚園・保育所のプランの概観から幼児の交流を予測し、行動観察調査から仮説を検証した。その結果、①「見え」:プランの凹凸が隠れる・のぞくといった幼児間の交流のきっかけとなる行為を引き出す、②「近接」:幼児の生活圏を近接させ、活動に自由度をもたせることで幼児間交流を発生させる、③「変化」:各室・空間の可動間仕切りにより多様な集団や行為に対応する空間を形成する、④「アクセス」:交流を発生しやすくするため、幼児の動線を遮らない、⑤「共用」:日常的に使用する場を共用すると、交流だけでなく幼児の発達に良い影響を与える、などのキーワードを得た。 
 さらに、A)の調査対象から典型的プランを選定し、B)から得られた指針により、改善例を示した。研究成果からプランを再構築し、「保育活動に対する大人の理想」を実現するのではなく、「幼児のための計画」が重要であると考え、提案した。(文責 松井寛子) 


c0028578_15493169.jpg服部真和 Masakazu HATTORI

c0028578_22493861.jpg西尾崇志 Takashi NISHIO


c0028578_15494661.jpg大西裕太郎 Yuutarou OONISHI
「岐阜市及びその近郊の居酒屋・バーにおける女性の嗜好評価」
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岐阜市及びその近郊の特色ある居酒屋・バーを対象に実測調査を行い、居酒屋・バーにとっての重要な構成要素を抽出した。次にこれらの結果より女性の嗜好を把握するためのアンケートを実施し女性の視点からみた居酒屋モデルを提案した。特徴を以下に示す。
1)キッチンはオープンタイプにすることで客の入店を促し、利用者に安心感を与える。2)アプローチは長めにすりことで奥の空間に対し興味を持たせることができる。3)座席形態についてはカウンター席は好まれず、座敷席はほりごたつにするとリラックスできる。またトイレは店の最も奥が好まれる。4)パーティションを利用して個室感を出し人数の調整がきくようにする。5)照明は温かみのある白熱灯を利用し、壁などは木材を使用することで落ち着きのある店内にすることができる。6)利用者同士の視線が交わらないように床レベルに差をつける。 (文責 岩田秀斗)

c0028578_1550123.jpg小栗拓磨  Takuma OGURI
「感情別にみた利用者が飲食店空間に求める要素」‐岐阜市およびその近郊におけるケーススタディ‐
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 本研究は、岐阜市およびその近郊における飲食店を調査対象とし、評価グリッド法を用いて、喜、怒、哀、楽、の4つの感情について評価を試み、利用者の感情に応じた飲食店に求める要素を明らかにすることを目的としている。
調査により次のような知見を得た。喜:『喜びを倍増させる・噛み締める』ために、遊具や音楽、カウンター、座敷、二階席などが求められている。ただし喜びの度合いには幅があるため、その時々に応じた空間のフレキシビリティが必要と思われる。怒:『騒いだり会話することで、スッキリし怒りを忘れる』ため、カラオケやダーツ等の遊戯物が求められている。また空間として、仕切りなどでプライバシーを保護することが求められている。哀:『落ち着いてスッキリさせる』ため、スポットライトやパーソナルスペース等を設け、悲しみに浸ることが求められている。また悲しい時は少人数で出向くといった意見も聞かれ、狭い店内や個室を設ける等の配慮も重要である。楽:『楽しい気持ちを保ち続ける、良い気分になる』ために、居酒屋やファミリーレストランのような騒ぎやすい雰囲気づくりが求められている。
全ての感情をカバーする飲食店の空間要素は、暗い、和風、木、音楽、静か、オレンジ色のライト等が挙げられる。(文責 伊藤昌博)

c0028578_1749271.jpg加納由佳  Yuka KANOU
「保育所・幼稚園における遊び集団の発生から解散にかかわる空間的特性」 
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調査は、平面計画に特徴のある3園を選定し、幼児の遊び集団に変化がある毎に行為、動線、場所、集団数等を平面図上に記録し、写真撮影を行った。得られた遊び集団の状況から発生・展開・解散に分類し、行為と空間的特性の関わりについて分析した結果から、以下の知見を得た。 
1)遊び集団の発生の要素は、身を隠すことができる、壁面の凸凹、段差・高低差、空間の連続性等、2)遊び集団の展開の要素は、狭い空間、座ることの出来る固定遊具、可動遊具、多様な要素の分類等、3)遊び集団の解散の要素は、幼児が遊びに飽きて気がそれる、他の目的が生まれる等があげられる。遊び集団の発生は場所、展開は場所・モノ、解散はモノ・人に関わっている。(文責 大家苗)

c0028578_188778.jpg熊谷百夏  Momoka KUMAGAI
「箱庭手法を用いた実験からみた子どもが屋外遊びに求める要素」
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本研究では、屋外の遊び場の典型例である公園に着目し、子どもが求める遊具の種類や配置を明らかにすることで、子どもの遊びに適した公園計画に関する知見を得ることを目的とする。
初めに対象地での遊びの場面を写真に記録し、魅力的な遊び場を構成する要素を考察した。その結果、魅力的な遊び要素として以下の要素が挙げられた。A)連続的に遊具が並べられており遊びを誘導する要素B)地面が出っ張りや凹みといった空間そのものが魅力的な要素C)遊具と自然の素材を組み合わせた要素D)高い所や熱いもの、冷たいものなど少し刺激のある要素E)自然の山、木、池など自然の要素。
次に、これらの要素を取り入れ、箱庭手法を用いた実験を行った。実験により子どもが求める公園の遊具配置について以下の知見が得られた。1)多人数で遊ぶことのできる公園を求めている。2)人気のある遊具を多く配置する、同じ遊具を複数配置するなど、けんかにならず仲良く遊べる公園を求めている。3)遊具や木で公園を囲むなど、安心感がある公園を求めている。4)池や山などの自然要素が必要である。(文責 江崎徹)


c0028578_15502474.jpg服部元気  Motoki HATTORI
「幼稚園・保育所の屋外空間における幼児の遊びと主空間・付属要素の関わり」

本研究は、屋外計画に特徴のある3園を対象にし、平面図への行為記録と撮影した写真から、屋外おける幼児の遊び内容と発生場所を収集・把握、遊び実態から主空間と付属要素の関係を整理し、今後の屋外空間の在り方について考察した。
調査により、次のような考察を得た。1)主空間・付属要素の関係として追加要素と発展要素の2つに分類できる。2)主空間において構成要素を把握すること・付属要素との相性を知ることにより主空間の相互関係により配置計画に役立てられると考えられる。3)保育園・幼稚園の屋外空間を計画する際には、方針などを踏まえ主空間のみならず、付属要素も選ばなければならない。4)設置する全ての遊具又は空間を主空間と捉え、それぞれの相互関係を理解することで全体の屋外空間の計画に活かされる。
各考察により、主空間と付属要素の捉え方は園児の遊びを知るための重要な方法の1つであると考えた。(文責 田上菜美)

c0028578_1882656.jpg松井寛子  Hiroko MATSUI
「公園における遊具の特性が遊びの動作・動線に与える影響」
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本研究は公園における個々の遊具特性とこどもの利用実態を明らかにし、遊具がかのうとする動作の傾向、こどもの遊具利用タイプ・遊具が動線に与える影響に関する知見を得ることを目的とする。
 最初に、公園内におけるこどもの動線を平面図にプロットし、観察された動作遊びに影響する遊具特性を考察した。その結果、姿勢変化や水平移動を促す安定型、上下左右への移動を促す移動型、対象以外の人や物の移動を促す操作型に分類できた。続いて、利用実態から見た動線タイプは、A:少人数で移動し、自分の意思で行動を決定する、B:少人数で移動し、周りの環境に影響を受ける、C:おしゃべり好き(女子)、D:活発に遊ぶ(男子)、E:大人数でごっこ遊びの5つに分類できた。最後に、これらの動線タイプに対応した遊具と動作は、A・B・D:ネット遊具・ターザンロープにおける、ぶらさがる・とびつく・つかむなどの遊具そのもので遊ぶ動作、C:砂場・ブランコにおける、のる・しゃがむ・おりるという停滞を促す動作、E:複合遊具・滑り台における、あるく・のぼる・おいかけるという通過を促す動作などが挙げられた。(文責 大西裕太郎)