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2019年11月 5日 (火)

20191105 コラム

今回のコラムはまたもや反則上がりをしてしまった橋本です。

今日は私が趣味で執筆しております短編小説を載せました。よければご一読ください。


「強硬手段」

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確実に追いやられている。
カフェやファミレス、定食屋などの飲食店ではもちろん、最近では居酒屋ですらも禁煙化、分煙化が進んでいる。

喫煙者の自由はとうとうここまで小さくなってしまった。
それでも止めないのは中毒なのか、意固地になっているだけなのか。
しかし、未だに紙巻きタバコを愛煙し続けるのには、意固地なだけでない理屈がある。

最近どんどん勢力を増してきた加熱式タバコには、俺は乗っからない。トクホのコークを飲んでいるようなものだからだ。

娯楽快楽を求めるのならば、それなりのリスクを覚悟しなければならない、というのが俺の意見。
屁理屈だろうか。

そんな下らないことを考えながら俺は紙巻きタバコを吹かす。
重そうな加熱式タバコをスタイリッシュに構えて吸う奴らを尻目に見ながら。

*****

それにしてもこの喫煙所に人が多かった。自分が煙を吐き出した後もすぐに副流煙が襲ってくるまでに窮屈だ。

ガコン_____

突然、の機械音に喫煙所がざわついた。誰かが言う。

「おい、なんだこれ。開かないぞ」

スライド式の扉のノブに力を込めながら、男は舌打ちをした。

キュオオオオ___
続いて空調、換気扇、電気が一斉に切れた。

不安にざわつきが増す。
気づけば煙たい小さな空間にいた人々は皆汗だくになっている。

そして1人、また1人と眠るように倒れていく。

暗闇の中で灯っていたタバコの火とともに、静かに命の火が消えていく。

とうとうここまできたか、この国は。

喫煙者は年々、減り続けている。


以上です。お粗末さまでした。

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