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2016年11月25日 (金)

Staff 平成21(2009)年度

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伊藤昌博 Masahiro ITO

『ダブル笑顔がバッチ・グ~dd(^^)』

キャプション評価法を用いた岐阜市中心街の印象評価
*研究目的*
 中心市街地の衰退が問題視されるなか、岐阜市の中心市街地である玉宮通りとその周辺地区では多種多様な店舗が集まっている若者に魅力的な町を形成している。他にも柳ヶ瀬商店街は岐阜県随一の商店街として、多世代の人に利用されている。これらの場所に人々が集まる要因として個々の店舗の魅力だけではなくファサードの面白さ、休憩スペースの存在なども関わっていると考えられる。
そこで本研究では魅力を明らかにする事によって、今後のまちなみづくりに関する知見を得ることを目的とする。
*研究方法*
①予備調査 
分析に先立ち、調査地の立面写真を撮影し、ファサードの連続写真を作成した。そして、調査地の全ての通りについて特徴的な空間的要素を抽出・記入した。
②キャプション評価法を用いた調査 
調査対象者がカメラを持って調査地を歩き、魅力的な場所、問題のある場所、違和感のある場所を写真撮影してもらい、撮影理由を評価シートに記入してもらった。 
*まとめ*
共通するキーワードとして「魅力的な場所」では「にぎわい」「明るさ」、「問題のある場所」では「廃れた印象」「暗い」が挙げられる。にぎわいを感じるディスプレイ、照明器具、ガラス張りの店舗ファサードを用いながら、建物取り壊しによって放置された土地と壁面、暗さを感じさせる空間の改善を行うことにより、より良い街並になり得ると考えられる。また、「違和感のある場所」のキーワードである特徴的な看板やファサードを用いることにより、街並みに個性的な表情を生み出すことができると考えられる。これらの共通点を活かすためには街並み各々の特徴を把握した上で適した形で応用することが求められる。
(文責:坂翔太)

c0028578_16494910.jpg岩田秀斗 Hideto IWATA
『キラーン☆これが目にはいらぬか~!!』

保育所・幼稚園における子どもの遊びタイプと空間的特性に関する考察
*研究目的*
 本研究では、1)保育所・幼稚園における遊び実態、2)幼稚園における遊び空間の改善とその効果を検証し、3)幼児の遊びタイプの特性を明らかにしたい。これらから、子どもの遊びに適応した空間的特性について考察し、保育所・幼稚園計画の知見を得ることを目的とする。
*研究方法*
 ①園児の遊びを場所と行為の動きについて動的・静的に分け、計4タイプ毎に調査人数に偏りがないように留意し、事例を収集した。
 ②登園から降園までの園児の行動を10分間隔で平面図にプロットし、その結果から不足していると考えられる遊びを抽出した。それらを遊具等で補った後に再度行動調査を行い、園児の遊びの質的変化について考察した。また、保育者に対してアンケート調査を行なった。
③既往研究データ1)から、1)5分以上連続している遊びを1場面とし遊び場面を抽出、2)1場面ごとに場所の移動と遊び方に着目し分類、3)2)から遊びタイプを導き出した。
*結語*
  子どもの遊び行為は遊び空間のあり方に大きく影響を受けている。本研究では様々な保育所・幼稚園において、遊び行為と空間的特性ついて考察し、子どもの遊びに適応した遊び空間について幾つかの知見を得た。これらが保育所・幼稚園を計画する際の資料となることを願う。
(文責:佐古彩香)

c0028578_16513889.jpg江﨑徹 Toru ESAKI
とおるのタイトル
*研究目的*
本研究では、箱庭手法を用いた実験を行い利用者の感情に適した空間のあり方を把握し、利用者が過ごしやすい飲食店を設計するための知見を得ることを目的とする。
*調査方法*
1)家具の配置やパターン
2)空間の詳細なイメージ
3)被験者の設置意図
などをヒアリングし、ビデオカメラで実験の様子を記録した。
*結果、分析*
これまでの分析を整理し、感情別にみた利用者が求める要素をまとめ、計画、行動、雰囲気、色、明るさ、配置傾向のカテゴリーに分類された要素を感情別にみていくことで、ある感情時に求められる要素を把握することが出来る。
飲食店は利用者にとって過ごしやすい空間である必要があり、その時々の感情に求められる空間的特徴を把握することは重要である。本研究では、箱庭手法を用いた実験を感情別に行うことで、被験者の感情に合わせて求められる飲食店のあり方を考究した。にぎやかな飲食店、悩みを癒すための飲食店など、飲食店のコンセプトを空間化するための資料が得られたと考えられる。
(文責:岩田琴美)



c0028578_16552251.jpg田上菜美 Nami TAGAMI
『あ゛~ お母さんおらへぇ~ん』


共同生活に求められる居住空間の建築的特性 ルームシェアと寮におけるケーススタディ
*研究目的*
 本研究は、ルームシェアと本校の雄志寮におけるそれぞれのprivate-public領域の感じ方、プライバシー意識、生活パターンなどから、空間に対する同居者間の関係を読み解き、ルームシェアと寮の居住空間の領域の感じ方を比較する。
そして、共同生活の居住空間に求められる計画的知見を明らかにすることを目的とする。
*調査方法*
<寮における生活パターンと個室の領域形成> 
 ルームシェア・寮における同居者間のpublic-private領域の感じ方、プライバシー意識、生活スタイルの実態を把握することを目的としたアンケート調査を岐阜高専の雄志寮のうち2人部屋であるB寮、第1女子寮、第2女子寮に住む学生に実施。
<ルームシェアにおける生活パターンと個人的領域>
 ルームシェアをしている、経験がある人を対象に協力が得られた人にアンケート調査を実施。(恋人同士の同棲はルームシェアの対象外とする)
*結果、分析*
 個人的領域形成がpublic領域にもみられる場合は、public領域に個人的領域形成を促すしくみ(交流の場の設定、家具の配置)がみられ、同居者間の交流を深めようとしている。
 個人的領域形成が主にprivate領域(自室)にみられる事例は、同居者間の生活スタイルがずれていること、個室の独立性が高いことが影響していると思われる。
 個室がなく全体がpublic領域である事例は特にプライバシーを意識していない。B寮の一部の事例が当てはまり、男性のみにみられる。
 1ルームをシェアしている場合では、public領域の中に自分の場所であるprivate領域が形成されており、一つの部屋の中で領域が分かれている。女子寮や主なB寮での事例が当てはまる。
 ルームシェア空間に求められる建築計画上の視点としては、
1)同居者間の親密度や各々に望まれる関係性を考慮したprivate-public領域形成を促すしくみを設けること
2)同居者間の関係だけでなく、間取り・家具の配置が領域形成に影響を及ぼすこと
などが挙げられ、それを考慮した空間計画が必要であろう。
 共同生活では同居者間の関係が暮らしやすさを大きく左右すると思われる。
本研究では、各々に望まれる同居者間の関係性を保ちながら生活でききるプラン構成を提案した。
 (文責:野村彩弥加)

c0028578_1655412.jpg岩田卓也 Takuya IWATA
『さあ、僕と一緒に行こうよ♪』


home & homeless ホームレスが自立へと向かう場の提案
*設計目的*
 日本には自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた者が多数存在し、健康で文化的な生活を送ることができないでいる。路上生活者、野宿者などのホームレスの数は全国14554人、ネットカフェ難民は約4700~5400人に及ぶ3)。住まいを持てないことは生死にも関わる深刻な問題であり、問題の解決に取り組むことが急務である。
一方で、2009年12月の完全失業者数は14ヶ月連続で増加している。失業者が最後に行き着くのはホームレスやネットカフェ難民である。失業者が増加するこの時代だからこそ、居住貧困について考えていくことが必要ではないだろうか。
*計画対象地の概要*
対象敷地は名古屋市笹島である。笹島には居住貧困の歴史があり、その経緯からホームレスを支えるための施設がある。
*計画概要*
 テーマは「質素」でありながら「豊かな場」をつくることである。ホームレスの生活を支え、自立へと向かうことを目的とするため、そこでの生活は質素であるべきであり、ある程度の不便や、狭さを感じる空間であっても意図する行為に必要な大きさがあれば十分と考えた。 
*設計概要*
居住者が8人のグループで1つの「home」と呼ばれる建物に住み、その中で共同生活を行うプランとした。居住者には必ず個室があり、LDKやトイレをその「home」の中で共有する。「home」では一人一人に役割が与えられ、支援されつつも食事の準備や掃除、洗濯などを居住者自ら行っていく。全てで7棟の「home」があり、それぞれが1階に浴場や図書、洗濯場など全体の共有空間となる機能や役割を1つずつ持つよう計画した。そうすることでプライベートに閉じた堅実な居場所を持ちながら、居住者が自由に出入りし、交流する開いたパブリックな場所ができると考えた。こういった建築が与える人と人との間合い、関係性を大切にすることで居住者のトラブルが抑制される適度に協調した場にしようと試みた。
(文責:佐古彩香)

c0028578_1657646.jpg加藤未知麻 Michima KATO
利用者の感情別に見た飲食店に求められる空間的特性
*研究目的*
 感情に適した空間のあり方、利用者の感情に適した飲食店空間のあり方を把握することで、より細やかな設計を可能にすることが出来る。本研究では、利用者が感情別に求める飲食店の空間的特性を明らかにすることを目的とする。
*調査方法*
1)文献調査による感情想起に関する妥当性の検証
2)クラスター分析を用いた箱庭模型の配置傾向の分析
3)同一被験者が作成した異なる感情時の箱庭模型の比較を行う。
*結果、分析*
既往研究の分析を含めたこれまでの分析を整理し、感情別にみた利用者が求める配置要素をまとめた。これにより、ある感情時に求められる配置傾向を把握することが出来る。
飲食店は利用者にとって過ごしやすい空間である必要があり、その時々の感情に求められる空間的特徴を把握することは重要である。本研究では、箱庭手法を用いた実験を感情別に行った既往研究の結果を扱ったことで、被験者の感情に合わせて求められる飲食店のあり方を考究した。このことは、これからの飲食店計画の指針として重要だといえaるだろう。
(文責:岩田琴美)


c0028578_1658367.jpg野原加絵 Kae NOHARA


幼稚園における幼児の遊び方のタイプ分類
*研究目的*
本研究では、幼児にとってふさわしい園環境を充実させるために幼稚園における幼児の遊び方の特性を把握し、タイプとして分類することによって幼児に必要であると思われる場所を考察することを目的とする。
*研究方法*
 ①平面計画に特徴のある7園において5分以上連続している遊びを1場面として抽出する。
 ②1場面ごとの場所の移動と遊び方に着目し9つに分類する。
 ③分類した遊び方を既往研究のデータをもとに分析し、遊び方のタイプを導き出し考察する。
*結果、まとめ*
男女別では、男児は道、女児は遊具や飼育小屋などに滞在していた。また学年別では、年少は遊具、年中は遊具や家具、年長はオープンスペースで遊ぶ姿が見られた。また園別で見ると全ての場所でオープンスペースを使用して遊んでいた。そして、地層のくぼみやデッキテラスなどそれぞれの園に存在している自然コーナーやそこを繋ぐ道などで多く遊ばれていた。
結論として全ての園でオープンスペースが使われた事から、オープンスペースへのアクセスのしやすさが計画のポイントであると思われる。また、オープンスペースと道や自然コーナー・遊具・家具の配置を近くすることも重要だと思われる。
(文責:坂翔太)

c0028578_16595033.jpg藤澤光治 Koji FUJISAWA
『こりゃ まいりましたな』


キャプション評価法を用いた美殿町界隈と柳ヶ瀬商店街の印象評価
*研究目的*
 本研究では、美殿町界隈、柳ヶ瀬商店街の印象をキャプション評価法を用いた調査から魅力的な点、問題点、違和感を感じる点を抽出し、美殿町界隈と柳ヶ瀬商店街の魅力を明らかにし、まちなみづくりの知見を得ることを目的とする。
*調査方法*
  美殿町界隈・柳ヶ瀬商店街の空間的特徴をまとめ、各調査地に対する人々の印象を知るためキャプション評価法を用いた実験を行う。
 ①予備調査
  ・美殿町界隈・柳ヶ瀬商店街の簡略化したマップを作成。
  ・マップと評価シート、キャプション評価法を用いたアンケート調査の手順を載せた調査の説明書を作成。
  ・美殿町界隈と柳ヶ瀬商店街の店舗のファサードの連続写真を作成。
 ②キャプション評価法を用いたアンケート調査
  ・カメラを持って美殿町界隈、柳ヶ瀬商店街を歩いてもらい、「良いなぁ、好きだなぁ」、「嫌だなぁ、嫌いだなぁ」、「何か気になる、違和感がある」と感じたものを写真撮影してもらい、そのものを撮影した理由を評価シートに記入してもらう。
  そして撮影してもらった写真をキャプション評価法で評価する。
*結果、分析*
 「美観」というキーワードに着目すると柳ヶ瀬商店街の方が美殿町界隈よりも注目されている。柳ヶ瀬商店街にはアーケードがかかっており、建物の上部を見ることが出来ないため、周囲との調和よりも各店舗のファサードが目立ち、「美観」に関するキャプションが多く、個々の店舗の印象が評価を分けるポイントとなった。一方で、美殿町界隈のように開放的な通りの場合は「雰囲気」「秩序」に関するキャプションが多く、周囲の建物や環境との調和・統一が評価のポイントとなった。
(文責:野村彩弥加)

c0028578_1705427.jpg増田奈津実 Natumi MASUDA
『(ほっぺが赤いのは仕様です。)』


幼稚園における遊び環境要素設置前後のこどもの遊び変化
*研究目的*
 本研究では遊び空間の質を向上するために必要と思われる遊具等を配置することで、その前後のこどもの遊びに生じる変化を調査し、こどもの遊び場に求められる空間的要素に関する知見を得ることを目的とする。
*調査方法*
 登園から降園までのこどもの活動を10分間隔で平面図にプロットし、遊びの分布図を作成する。その結果から求められている遊び空間を考察し、それらを遊び環境要素で補った後の行動調査からこどもの遊びの変化を把握する。また、保育者からみたこどもの遊びの変化を読み取るためにアンケート調査を行う。
*結果、分析*
 設置前では、園舎内の遊びよりも園庭の遊び内容に多様性がないと思われた。そのため、園庭を対象とした遊び環境要素の考察をすると園庭で遊ぶこどもは平たい面やこもった空間を求める傾向にあるとわかった。また、調査中に園舎と園庭を行き来するこどもはあまり観察されなかった。これらの結果を踏まえて、机(平たい面の確保)、ついたて(こもれる空間の創出)、ウッドデッキ(園舎と園庭の出入りを促す目的)の3つの遊び環境要素を制作した。
 アンケート調査では机とついたてはよく活用されていると回答があり、同時に壊れやすいという問題点を指摘された。天候や季節に左右されるウッドデッキは活用されにくく、マットを敷くなど改善が必要ということが分かった。さらに、これらには共通して接合部から釘が出ないような工夫や、頑丈であるということが重要になってくるといえる。また、園舎と園庭のつながりを増やすには、こどもにとって居心地のよいウッドデッキを設置することが挙げられる。
 本研究で得られたこどもの遊び空間に関する知見が、今後の保育空間の計画に役立つことを願う。
(文責:野原麻由)

c0028578_17329100.jpg南佳祐 Keisuke MINAMI
『これは僕のだ!! むしゃむしゃ』


幼稚園におけるハード・ソフト面に対するWS参加者の視点の違い‐ワークショップ手法を用いた幼稚園の遊具の製作‐

*研究目的*
 近年、公共建築の設計プロセスやまちづくりの協議、ある空間に必要とされる物の計画において、市民参加型のワークショップ(以下WS)が行われている。本研究では幼稚園の遊具製作WSにおいて、WS参加者のハード・ソフト面に対する視点の違いを明らかにすることを目的とする。
*調査方法*
①第一段階:WSは園に必要な遊びを抽出する(第1回WS)
②第二段階;物の形を決める(第2回WS、第3回WS)
③第三段階:物を製作する(第4回WS、第5回WS)
以上計5回行った。WSの実施中はビデオ撮影で記録し、参加者の代表的な発言を抽出・分類した。
*結果、分析*
 調査の結果、研究者は研究で得られた知見を基にした発言・園児の視点に立った発言が多く見られ、学生は発言者自身の視点での発言が多く見られた。
発言の割合が同程度であった研究者、学生の間でも視点の違いを明らかにすることが出来た。
 WS参加者の視点は、それぞれの立場によって違いがあることがわかった。その理由として、設計者は設計を行う際にソフト面についても考えるが、最終的にそれをハードに落とす作業を行うためだと考えられる。施設関係者は、普段は保育について考えることが多いためだと考えられる。研究者は、自ら研究を行うことに加え、設計についての知識も有するため、設計者と施設関係者両者の間に位置する立場であると考えられる。学生は、普段の学生生活の中でハード・ソフト面の両方を学んでいるためだと考えられる。
WSを行う際は、それぞれの視点の違いの傾向を認識し、参加者の多様な意見を上手く拾い上げる意識が必要と思われる。
(文責:野原麻由)

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